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AIを使える人に仕事が集中? 政府職員調査で短縮は4人に1人
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AIを使える人に仕事が集中? 政府職員調査で短縮は4人に1人

要するに

国の調査で、AIで仕事が週1時間以上減ったんは回答者の4人に1人くらいや。減った時間の4割近くは、5時間以上浮いた259人の分や。京都府や大阪市、神戸市も、使ってへん職員と確認の手間に手を打っとる。

  1. 1週1時間以上減ったんは、回答者6,439人の約26%や
  2. 2増えた人は0.7%、でも3割は精度の低さに出くわしとる
  3. 3京都府は年約160時間、大阪市は89%、物差しがちゃうねん
執筆・監修:佐々木 航人が監修しながらAIを活用して執筆くわしく読む

くわしく知りたい人は、ここから

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「AIを使えない、使おうとしない職員の業務が、AIを使える職員に回されて仕事が増える」。

デジタル庁が10月30日に公表した、政府職員の生成AIの利用調査で、自由に書く欄に寄せられた声です。ただ、選択式の答えを見ると、源内を週1回以上使う人のうち、仕事の時間が1時間以上増えた人は0.7%しかいません。偏っていたのは、AIで浮いた時間のほうでした。

AIが得意な人ほど忙しくなる。職場でAIを使う人なら、思い当たる節があるかもしれません。調査を読み込むと、その感覚のどこまでが数字に表れ、どこからが表れにくいのかが見えてきます。

対象はデジタル庁が政府職員に用意した生成AI「源内」です。8月21日から9月18日にかけて、府省庁などの職員6,439人が答えました。源内にまだ登録していない人も入っています。

「過半数が短縮」は使う人の中の話

デジタル庁の発表では、源内を使う人の54.4%が、仕事の時間が週1時間以上短くなったと感じていました。デジタル庁は、1人あたりの短縮を週約1.83時間と見積もっています。

ところが、時間を聞いた相手は回答者の全員ではありません。週1回以上使う3,078人だけです。答えた6,439人の全体で見ると、週1時間以上減ったのは1,677人で、約26%。4人に1人ほどになります。

「過半数」と聞いたときの印象より、だいぶ少なく見えます。

左は回答者6,439人を100マスに置き換えた図。週5時間以上減った259人が4マス、1〜5時間減った1,418人が22マス、週1回以上使うが1時間未満・わからない・増えた1,401人が22マス、ほとんど使わない1,687人が26マス、登録しただけの325人が5マス、登録していない1,349人が21マス。週1時間以上減った1,677人は回答者の約26%。右上は減った時間の合計(週)で、10時間以上の99人が990時間、5〜10時間の160人が1,200時間、3〜5時間の337人が1,348時間、1〜3時間の1,081人が2,162時間。合計5,700時間のうち259人の分が2,190時間で38%、1,418人の分が3,510時間で62%。増えた23人の50時間を引いた5,650時間を3,078人で割ると週約1.83時間。右下は使う頻度ごとの割合で、週1時間以上減った人はほぼ毎日70%、週3〜4回62%、週1〜2回45%、業務時間が2割以上減った人は48%、37%、19%。
政府職員6,439人の生成AI調査を組み直した図。短縮は回答者の約4人に1人で、時間の4割近くは259人から作成: 編集部 / 出典: 西のITメディア編集部

使う回数による差も大きく出ました。週1時間以上短くなったと感じた人は、ほぼ毎日使う人で70%、週1〜2回の人では45%です。一方で、回答者の31.2%は源内をほとんど、あるいはまったく使っておらず、21.0%は登録もしていません。

時間の偏りも見ておきます。デジタル庁と同じ置き方で、減った時間を足し合わせました1。

減った時間(週) 人数 時間の合計
10時間以上 99人 990時間
5〜10時間 160人 1,200時間
3〜5時間 337人 1,348時間
1〜3時間 1,081人 2,162時間
1時間以上増えた 23人 −50時間

減った分の合計は週5,700時間です。このうち2,190時間、約38%は、週5時間以上減った259人の分です。259人は回答者の4.0%にすぎません。

増えた分を引いた5,650時間を3,078人で割ると、週約1.83時間。デジタル庁の推計と同じ値になります。平均の1.83時間には、一部の人の大きな短縮がかなり効いているのです。

会社でAIの効果を報告するときの分母の示し方は、情シスの相棒の10月31日の記事が取り上げました。ここでは、この偏りで働く人の何が変わるのかを追います。

浮いた時間は、別の仕事で埋まる

仕事が増えたと答えた人はわずかなのに、なぜ「仕事が集中する」という声が出るのでしょうか。書き込まれた声を読むと、理由は一つではありません。

まず、浮いた時間がそのまま別の仕事に回る例です。「同じ時間内により多くの業務をこなすことができるようになった」という声があります。外注していたガイドライン作りを内製した結果、「自身の業務量が増えており」と書いた人もいました。部下を持つ職員からは、AIで下書きを作り、部下の作業を減らして「自身の対応で完結できるようになりました」という声が寄せられました。

どれも前向きな話です。でも、仕事がAIを使える本人に寄っていく形は、冒頭の声と変わりません。

次に、確認とプロンプト作りの手間です。資料では、業務時間が増えた例が「プロンプト作成の手間」と「確認の手間」に分けて並んでいます。冒頭の声も、この「確認の手間」の欄に並んでいました。

デジタル庁の調査資料26ページ「業務時間が増加した具体的なエピソード(抜粋)」。プロンプト作成の手間の欄に、定型業務でもまずプロンプトを複数考える必要があり作成に時間がかかるという声。確認の手間の欄に、正確性を期すため表現の修正が必要で自分の目でも確認が必要という声と、AIを使えない、使おうとしない職員の業務がAIを使える職員に回されて仕事が増えるという声。源内における機能の制約の欄に、さらに上の取り組みを目指せるようになり業務時間が増加したという声と、ワードやエクセルの修正や作成ができないことが分かったという声。
デジタル庁の資料が挙げた、業務時間が増えた具体例。確認の手間の欄に、仕事が回される声がある出典: 出典:「ガバメントAI 源内 利用状況アンケート調査結果 概要」26ページ(デジタル庁)(公共データ利用規約(第1.0版)(PDL1.0)に準拠して利用。ページの上下の余白を切り抜いて作成(2026年11月1日確認))

手間は数字にも表れました。週1回以上使う3,078人のうち、30.8%が「回答の精度・信頼性が低い場面があった」と答え、20.4%が「AIの出力をそのまま使えず、修正・加工に手間がかかった」と答えました。部下が出したAIの回答に誤りがあり、「かえってその確認に手間取った」という上司の声もあります。

AIが生み出す膨大な出力に職員が追われ、かえって負担が増えるようでは本末転倒です。

出典: デジタル庁「ガバメントAI 源内 利用状況アンケート調査(第1回)の結果を公表しました」

デジタル庁はこう書き、「AIに振り回されない働き方の確保」を、今後の取り組みの3本目の柱に据えました。AIの答えの根拠をたどりやすくし、登録していない人やあまり使わない人には、基本の使い方を教える研修を開く方針です。

大阪・関西では、効果の物差しがそろわない

関西の府や市は、職員が生成AIを試す段階をもう過ぎています。京都府、大阪市、神戸市は、どこも役所全体で使える環境を整えました。違うのは、効果の測り方です。

京都府は2026年3月10日の府議会の委員会に出した資料で、1月時点の利用状況を示しました。職員の利用率は約60%で、週3日以上使う職員は33%。毎日使う職員は、入れて1か月後の8%から、1年後には16%に増えました。減った仕事の時間は、職員1人あたり年に約160時間としています。

大阪市は時間ではなく、実感で測っています。使っている職員のうち「業務効率化に繋がっていると思う」と答えた割合を指標にし、2025年度末の見込みは89%でした。目標の70%を大きく上回ります。府と市の戦略では、使っている人は10,000人以上。市の職員の約半数です。

神戸市は2024年2月から、全職員がMicrosoft Copilotを使える環境にしました。2023年に133人で試した報告書では、英語の文案1件が1時間から10分になった、というように仕事ごとの例で効果を示しました。

上段は効果の物差しの比較。国(デジタル庁)は週約1.83時間で、週1回以上使う人1人あたりの短縮を選択肢の回答から推計。京都府は年約160時間で、職員1人あたりの削減を職員アンケートで把握、計算方法は資料に書かれていない。大阪市は89%で、使っている職員のうち業務効率化に繋がっていると思うと答えた割合、2025年度末の見込みで目標は70%。神戸市は2023年の試行(133人)の例で、英語の文案1件が1時間から10分。下段の表は、始まりと規模(国は2026年度に政府職員18万人で大規模実証、京都府は2025年1月に全庁導入、大阪市は2024年4月に全庁で開始、神戸市は2024年2月に全職員でMicrosoft Copilot)、使われ方(国は週1回以上47.8%・ほぼ毎日10.4%、京都府は利用率約60%・週3日以上33%・毎日16%、大阪市は10,000人以上、神戸市の試行は1人1日平均1.07回)、使っていない職員への研修や事例集、確認の手間への手当て(根拠の表示、ガイドラインでの確認の義務づけ)を並べている。
職員向け生成AIの効果の測り方と、使っていない職員や確認の手間への手当てを、国と京都府、大阪市、神戸市で比較作成: 編集部 / 出典: 西のITメディア編集部

国の週約1.83時間、京都府の年約160時間、大阪市の89%。並べたくなりますが、だれを分母にして何を聞いたかが違うので、大小は比べられません。京都府の160時間をどう計算したかと、神戸市の全職員でどれだけ減ったかは、公開された資料では見つかりませんでした。

それでも、つまずく所は国と同じです。京都府は生成AIを使ったことがない職員や、十分に使いこなせていない職員がいることを課題に挙げ、全職員向けの研修を続ける考えです。神戸市が2026年4月に始めた庁内の基盤「KOBE AI PORT」は、よく使う指示文をひな形で用意し、AIが参照した資料を画面に出すつくりです。市のニュースレターは、生成AIが広がらない理由に「プロンプトの壁」を挙げ、AIをあまり使ったことのない職員ほど切実だと書いています。

源内でAIエージェントが始まった経緯は、政府職員のAI「源内」でAIエージェント開始 個人情報の扱いに基準で書きました。大阪府と大阪市の取り組みの全体は、大阪府と大阪市の生成AIはどこまで進んだ? 暮らしと店に関わる取り組みが詳しいです。

得意な人、苦手な人、まとめる人への影響

ここからは、調査の声と数字をもとにした編集部の見立てです。生成AIを入れた会社や店でも、同じことは起きやすいでしょう。

AIが得意な人ほど、浮いた時間がだれのものか見えにくくなります。週1時間浮いても、その分を頼まれごとで埋めれば、本人の忙しさは変わりません。浮いた時間で何をしたかを週に一度メモしておくと、上司と分担を話すときの材料になります。確認や指示文づくりにかかった時間も、同じメモに入れておきたいところです。

苦手な人について言えば、源内を使っていない人がみな「使えない人」とは限りません。使っていない理由でいちばん多いのは「使い方がわからない」の1,166人ですが、「源内以外の他のAIサービスを常時利用している」も994人いました。困っているなら、自分で覚えるより、職場で使える指示文の例を先にもらうほうが早いはずです。神戸市がひな形を用意したのも、この壁を下げるためでした。

チームをまとめる人には、分担の見直しが残ります。調査には、上司が仕事の割り振りを調整し、「業務の平準化」を進める必要がある、という職員の声もありました。得意な人に仕事を寄せるのは近道に見えます。ただ、確認の手間まで1人に集まれば、その人が詰まってしまいます。

デジタル庁は2027年1月ごろに2回目の調査をする予定です。10月20日に始まったAIエージェントの環境のあとで、「ほぼ変わらない」の34.6%がどこまで動くのか。仕事が増えたと答える人が0.7%から増えるのかどうかも、見どころになりそうです。

金曜の夕方、今週AIで浮いた時間がどこへ消えたか、手帳をめくってみるとええかもしれへんな。

注

  1. 「1〜3時間」などの幅は真ん中の値(2時間、4時間、7.5時間)とし、「10時間以上」は10時間、増えた側は2時間と3時間、「ほぼ変わらない」と「わからない」は0時間として計算しました。デジタル庁の推計と同じ置き方です。人数は資料15ページの値です。 ↩

出典・参考

人が監修しながらAIを活用して執筆しています。公開したあとも、人が内容を確かめています。

執筆・監修

佐々木 航株式会社Game

代表取締役。大阪出身の大阪育ちで、大阪公立大学(旧:大阪府立大学)の工学部出身や。21歳で起業してから、システム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始めて、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけてる。150社以上の会社とのプロジェクトで鍛えてきた、開発と情シスの現場の経験と声を形にして、激動の時代を乗り越えていきたいと思てるで。

記事は、人が監修しながらAIを活用して執筆しています。何を書くかと中身は人が決めて確かめ、記事の中身の責任は編集部(執筆・監修者)が負います。まちがいに気づいたら直し、更新日を改めます。AI の使い方・運営者・編集方針・訂正・ご指摘

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