特典を申し込んでいない人も、対象に含まれます。
近鉄グループホールディングスは10月31日、7月に発行した第135回無担保社債を100万円以上買った人の情報が、外に漏れたおそれがあると発表しました。件数は2,678件。近鉄の発表には、対象は「特典を申し込まれた投資家だけではなく、100万円以上購入された方全員」とあります。
この社債の愛称は「Les Saveurs志摩 運行記念債」です。近鉄のレストラン列車が11月1日にデビューするのを記念して、ネット販売だけで売り出されました。100万円以上買って申し込んだ人にはKIPSポイント5,000ポイントを、抽選で最大30組60名にはペア乗車券を贈る特典付きでした。
では、なぜ申し込んでいない人の名前まで漏れるのでしょうか。
特典を配るための仕組みに、買った人の名簿が集まっていたからです。NTTデータとSecuritize Japanが提供する「社債購入者情報提供サービス」は、これまで証券会社の手もとにあった、買った人の情報を、社債を出した会社にも渡して、特典を配りやすくする仕組みでした。このサービスを支える「デジタル証券プラットフォーム」が、NTTデータの委託先で不正アクセスを受けました。中の情報が外に持ち出されたおそれがあると、各社に知らせが入ったのは10月30日です。

社債ごとに、漏れた情報の範囲が違う
近鉄の社債だけの話ではありません。同じプラットフォームを使ったJR西日本とカゴメも、10月31日にそれぞれ、社債を買った人へのお詫びを出しました。
| 社債 | 発行 | 対象 | 漏れたおそれのある情報 |
|---|---|---|---|
| 近鉄グループホールディングス第135回(運行記念債) | 2026年7月 | 100万円以上買った2,678件 | 氏名、購入金額 |
| JR西日本第80回(WESTをもっと!WESTER債) | 2024年6月 | 2件 | 氏名、住所、電話番号、メールアドレス、性別、生年月日 |
| カゴメ第1回(日本の野菜で健康応援債) | 2023年2月 | 購入者5,472名のうち109名 | JR西日本と同じ6項目 |
数は近鉄がずば抜けて多いものの、中身が濃いのはJR西日本とカゴメのほうです。住所から生年月日までそろうと、本人あての手紙やメールを、それらしく作れてしまいます。どの社債でも、証券口座の番号やパスワードは、漏れたおそれのある情報に入っていません。
古い社債の情報まで残っていたことにも驚かされます。カゴメの社債は2024年2月に、JR西日本の第80回は2025年6月に、それぞれ償還を終えました。JR西日本の特典だった鉄道優待割引券も、2025年6月末で使えなくなりました。お金を返し終えて1年以上たっても、買った人の名前や住所は、まだプラットフォームの中にあったわけです。
近鉄の社債を売ったのは、野村證券、SBI証券、楽天証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の4社です。4社とも10月31日にお知らせを出し、SBI証券は1,169名、三菱UFJモルガン・スタンレー証券は95名と人数を示しました。楽天証券の「延べ362件」は3つの社債を合わせた数で、カゴメの109名とJR西日本の2件を引くと、近鉄の分は251件になる計算です。
野村證券は人数を出さず、漏れた情報の中身も「現在確認中」としました。ただ、近鉄の2,678件から3社の分を引くと、残りは1,163件。主幹事の野村證券で買った人の分とみられます。野村證券で100万円以上買った人も、近鉄の発表どおりなら対象です。








