「年末セールで、カニと魚介類を安く売っています」。電話の向こうでそう言われ、約2万円で買った。しばらくすると同じ男性から電話があり、「今度は福袋を付けて送る」と言うなり切れてしまった。
国民生活センターに寄せられた、70歳代の女性の相談です。女性は留守番電話に「送らないでほしい」と録音しましたが、商品は代引配達で届きました。配達員に持ち帰ってもらうと、男性から「送料分も含めて損害賠償を請求する」と怒鳴る電話がかかってきたといいます。
同センターは10月28日、海産物の購入を強引に勧める電話勧誘販売と送り付けのトラブルについて、年末を前に改めて注意を呼びかけました。
国民生活センターの注意喚起(10月28日)出典: 独立行政法人国民生活センター(引用)
相談は12月がいちばん多く、6割あまりが70歳代以上
全国の消費生活センターなどに寄せられた相談は、2023年度が2,875件、2024年度が3,539件、2025年度は4,377件でした。2025年度を月ごとに見ると、10月が401件、11月が433件、12月が545件と、年末にかけて増えています。
契約した人の年代では、70歳代以上が63.7%を占めました。60歳代の20.3%と合わせると、8割を超えます。
2026年度は9月末までで1,075件と、前の年の同じ時期の1,752件より少なくなっています。それでも同センターは、相談はなお多く、年末に増えやすいとして、本人だけでなく家族や地域で見守る人にも注意を求めています。
断っても届く、「2回目」を迫る
寄せられた例には、手口の型があります。
観光地の市場のキャンペーンだという電話で、毛ガニを1回だけのつもりで買った60歳代の男性には、後日「2回目の商品を届けます」と電話がありました。断ると、最初の商品に2回目の注文の書面を入れていた、2回目まで買ってもらわないと困る、と言われたそうです。
約5万円の海産物をいったん承諾し、電話でキャンセルを伝えた60歳代の女性のもとには、あとから納品書が届きました。カニなどが、代引配達で送られていました。
どれも、きっかけは事業者からの電話です。セールやキャンペーンでお得だと強調し、断っても商品を送ってくる。届いた荷物を家族が受け取れば、代金を払ってしまうこともあります。
受け取ってしまったときにできること
断ったのに代引配達で届いたときは、宅配の配達員に事情を話し、受け取りを断ります。代金は払いません。あとでもめたときのために、送り主の名前や所在地は控えておきます。
うっかり代金を払って受け取ってしまっても、一方的に送り付けられた商品なら、代金を払う必要はありません。事業者に返金を求められます。消費者庁は、注文も契約もしていないのに、お金を得るために送り付けてきた商品は、自由に処分してよいと案内しています。
電話で勧められて「買う」と答えてしまった場合は、特定商取引法の「電話勧誘販売」にあたります。法律で決まった書面を受け取った日から8日以内なら、書面かメールなどでクーリング・オフができます。「定期購入になっている」「2回目を届ける」と言われても、契約のときにそうした説明を受けていないこともあります。届いた書類をよく読み、説明と違えば早めに相談します。
相談先は、消費者ホットライン「188」と、警察相談専用電話「#9110」です。消費生活センターへの相談は、家族やホームヘルパー、地域包括支援センターの職員からでもできます。関西の府県や市の相談先は、高齢の親のスマホの困りごと 関西の相談先を図解188と#9110にまとめています。
同センターがいちばん大事だとしているのは、勧誘の電話があったことを家族に伝えておくことです。事業者と連絡が取れなくなり、返金を取り戻せないこともあるからです。
大阪や神戸の実家の親に、年末のカニの電話の話、いっぺんしといたってな。