ノートンやアバストなどのブランドを持つGenは2026年10月20日、2026年4月から6月(第2四半期)の脅威レポートの日本版を発表しました。日本でブロックしたディープフェイク動画に関連する攻撃は、前の3か月(1月から3月)の約9倍に増えたとしています。世界全体の約3倍を大きく上回りました。数字の中身と、詐欺を防ぐためにできることをまとめます。
何が増えた? ディープフェイク動画の攻撃は約9倍
Genの発表によると、日本でブロックしたサイバー攻撃の全体は前の3か月より7.7%減りました。一方で、利用者に何かをさせようとする攻撃は大きく増えています。
- フィッシング: 45.0%増の1,566万件
- 詐欺の攻撃全般: 27.0%増の2,062万件
- ディープフェイク動画に関連する攻撃: 前の3か月の約9倍(世界全体は約3倍)
- 端末を遠くから操る攻撃(リモートアクセス): 714.9%増。そのうちRATと呼ばれる種類は1,427.7%増
これらは、Genの製品が止めた件数です。日本で実際に起きた被害の件数ではありません。
日本でブロックしたディープフェイク関連の攻撃の約51,600件のうち、日本語のものは約43,200件で最も多いとしています。発表の図では、日本語が43,190件(全体の約80.2%)、英語が3,754件(約7.0%)、その他・不明が1,107件(約2.1%)です。Genは、海外の攻撃がそのまま日本に流れこんでいるだけでなく、日本の利用者に合わせた偽のコンテンツが広がっている可能性があるとみています。
Genが発表した、日本でブロックした攻撃の言語別の内訳出典: Gen(株式会社ノートンライフロック)(報道用の素材)
発表の見出しは「98%が日本語で生成された」としていますが、本文と図の数字とは合いません。98%が何をもとにした割合かは、発表に書かれていません。
ほかに増えた手口 宅配のSMS、動画や検索の広告
Genは、利用者がふだん使うサービスを入口にした詐欺が広がっているとしています。
- 宅配便を装うSMS: 「荷物を届けられなかった」などの通知を装い、偽のサイトに誘う。止めた攻撃の99.22%はAndroidの端末をねらっていた
- 偽のサポート詐欺: YouTubeやGoogleの広告から使い捨てのサイトに誘い、画面をいっぱいに表示したりパソコンに負荷をかけたりして、偽のサポートの電話番号にかけさせる
- ニュースサイトのなりすまし: 「Livedoor」のニュースのサイトをまねた偽サイトを、悪い広告から見せていた。使われたドメインは登録から6日しかたっていなかった
Genが示した、宅配便を装うSMSの例(送り主とリンクはぼかしてある)出典: Gen(株式会社ノートンライフロック)(報道用の素材)
暮らしと仕事への影響
ディープフェイク動画は、有名人や会社の人が本当に話しているように見せられます。投資を勧める動画や、お金の支払いを求める動画が本物そっくりになれば、見た目だけで見分けるのは難しくなります。日本語の偽の動画が多いということは、海外の詐欺だと気づくきっかけになっていた不自然な日本語にも、頼りにくくなるということです。
宅配のSMSや、動画・検索の広告は、毎日のように目にするものです。疑う気持ちが薄い場所から詐欺に誘われる点に注意が要ります。
今日からできること
Genが発表で呼びかけていることは、次のとおりです。
- 動画やSNSの情報をうのみにしない: 有名人が出てくる動画でも、AIで作られた偽物かもしれません。投資やお金の支払い、個人情報の入力を促す内容は、公式サイトや公式アカウントで確かめます。
- 広告やSMSのリンクをすぐに開かない: 公式のアプリや公式サイトから確かめます。
- 突然出てくる警告の画面や、サポートの電話番号を信じない: 端末の不具合が心配なときは、正規のサポートの窓口を自分で調べます。
- OSやアプリを新しく保つ: 信頼できるセキュリティの製品を使い、身に覚えのないファイルのダウンロードや、パスワードの入力を求められたら慎重にします。
ここからは編集部の提案です。家族で「お金の話は、動画や電話の相手が本人に見えても、一度切ってから自分で調べた番号にかけ直す」と決めておくと、慌てたときの歯止めになります。
AIを使った詐欺から家族と店を守る考え方は、AIで作った顔や声の詐欺に備える 家族と店で決めておくことでもまとめています。
関西の暮らしと仕事での使いどころ
Genの発表には、地域ごとの数字は書かれていません。ここでは、関西で暮らす人の使い方の例として整理します。
関西のSNS型投資詐欺やロマンス詐欺の警察の統計は、関西2府4県の特殊詐欺とSNS型投資・ロマンス詐欺 警察の統計を図解にまとめています。
たとえば、親がスマホで動画をよく見ているなら、「有名な社長や芸能人が投資を勧める動画は、まず偽物を疑う」と一言伝えておくだけでも違います。小さな店や会社で、取引先の社長を名乗る動画や音声で急な振り込みを頼まれたら、いつもの連絡先に電話して確かめる決まりにしておくと安心です。
本物に見えても、お金の話はいっぺん止まって確かめよな。