総務省は、住民票やマイナンバーカードにかかわる市町村の事務を、デジタルの技術で軽くする方法を話し合う検討会を開いています。2回目は2026年10月22日(木)13時から、オンラインで開きます。人口が減り、市町村の人や予算が限られていくなかで、住民へのサービスを保つためのものです。7月の1回目の資料から、暮らしにかかわる検討の中身をまとめます。
何が始まった? 市町村の事務を軽くする検討会
検討会の正式な名前は「デジタル技術を活用した効率的・効果的な住民基本台帳事務等のあり方に関する検討会」です。開催要綱によると、目的は次のとおりです。
- 人口が減り、市町村の経営資源が限られていく状況をふまえる
- デジタルの技術を使い、住民基本台帳やマイナンバーカードなどにかかわる市町村の事務の負担を軽くする
- それによって、住民サービスを保ち、よくする方法を幅広く話し合う
1回目は2026年7月29日に開かれました。2回目の10月22日は、事務局(総務省)とデジタル庁の資料の説明のあと、意見を交わします。検討会そのものは非公開で、終わったあとに配った資料と議事の概要を公表するとしています。
座長は慶應義塾大学法学部の大屋雄裕教授です。大学の研究者のほか、デジタル庁の統括官、千葉市や東京都、鳥取県、山形県大石田町、東京都狛江市の担当者が加わり、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)や全国知事会、全国市長会、全国町村会がオブザーバーです。
何を話し合う? 住民票の写し、コンビニ交付、住民票コード
1回目の事務局の資料は、前年度のワーキンググループで残った課題と、自治体からの提案を合わせて、次のような項目を挙げています。検討の項目は、状況によって変わることがあるとしています。
総務省の検討会の1回目の資料。想定している主な検討項目(案)出典: 総務省(公共データ利用規約(第1.0版)・総務省 検討会(第1回)資料2の5ページ目・確認 2026-10-22)
- 住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)の端末が整っていないなど、行政機関が住基ネットを使いにくい理由への対応
- 民間の会社がマイナンバーカードを使って最新の氏名・住所などを確かめるサービスを、さらに広める方法
- 住民票の写しを電子で交付することの方向性(デジタル庁の検討をふまえる)
- コンビニ交付の費用の分け方の見直しと、課税証明書の広域交付の進み具合
- マイナンバーカードを渡す前の確認の作業を、J-LISにまとめる検討の結果
- 市町村の住基ネットの機器(CS)をなくすための整理と、都道府県・全国のサーバーのまとめ方
新しく加わったのは、住民票コードの通知の見直しと、文字の扱いです。住民票コードは、住民票に初めて載るときに市町村が付ける番号で、市町村は本人に書面で知らせることになっています。中核市市長会(宮崎市)は、宮崎市だけで1年に約3,300件の通知に郵送料が約36.3万円かかるとして、通知をJ-LISのマイナンバーの通知と一緒にすることや、通知そのものをやめることを提案しました。国は、2026年度中をめどに結論を出すとしています。
暮らしへの影響 引っ越し前の市の課税証明書がコンビニで
暮らしにいちばん近いのは、課税証明書のコンビニ交付です。1回目の資料によると、2026年度にJ-LISのコンビニ交付のシステムを直し、引っ越す前に住んでいた市町村の課税証明書も、全国のコンビニで受け取れるようにする予定です。運用は2027年度から始める予定としています。
課税証明書の広域交付のしくみの図。引っ越す前の市の証明書をコンビニで出典: 総務省(公共データ利用規約(第1.0版)・総務省 検討会(第1回)資料2の7ページ目・確認 2026-10-22)
資料の例では、ある年の1月2日以降にA市からB市へ引っ越した人が、その年度の課税証明書をA市に求める場合、これまでは郵送などで請求していました。直したあとは、コンビニで交付を受けられるようになります。ただし、自治体の側の証明書を出すサーバーなども直す必要があり、総務省は自治体に改修を頼んでいます。
一方で、住民票の写しのPDF化は慎重です。前年度のまとめは、本人確認の書類である住民票の写しをPDFにして電子で交付するのは、複製によるなりすましなどの危険が大きいとしています。代わりに、本人の情報を電子で送る新しい技術(Verifiable Credential)を使えるかを検討します。引っ越しの転入の手続きのオンライン化も、本当に住んでいるかの確認や、カードの住所の書き換えなどが課題だとしています。
今日からできること
- 自分の市町村のコンビニ交付を確かめる: 住民票の写しなどをコンビニで取れるかは、市町村のホームページで確かめられます。マイナンバーカードの利用者証明用電子証明書が要ります。
- 電子証明書の期限を見ておく: 前年度のまとめは、マイナンバーカードと電子証明書の更新が今後急に増える見込みだとしています。期限は、カードの表面かマイナポータルで確かめます。
- 検討会の資料を待つ: 2回目の資料と議事の概要は、終わったあとに総務省のページで公表される予定です。
マイナンバーカードの電子証明書の更新の例は、東大阪市、マイナンバーカードの電子証明書の更新 12月と1月の予約日を公開にまとめています。
関西の暮らしと仕事での使いどころ
検討会の構成員には、関西学院大学法学部の早川有紀教授が入っています。関西の市町村への影響は、資料に書かれていません。ここでは、関西で暮らす人の使い方の例として整理します。
たとえば、1月2日以降に大阪市から京都市へ引っ越した人が、住宅ローンや保育園の手続きで、その年度の課税証明書を求められることがあります。資料の例にあてはめると、この証明書は引っ越す前の大阪市に郵送などで請求していましたが、予定どおり進めば、2027年度からは京都市の近くのコンビニで受け取れるようになります。
市役所の窓口の混雑が減れば、窓口でしかできない相談に時間を回しやすくなります。2回目の資料が出たら、続報でお伝えします。
住民票の手続き、少しずつデジタルで楽になりそうやで。