知らない番号から着信がある。番号は「+1」で始まり、末尾は「0110」。出てみると、相手は警察官を名乗り、「あなたの口座が事件に使われています」と切り出します。
この流れを、スマホの画面の中で体験できる無料のゲーム「騙される30秒前」を、株式会社Classroom Adventure、日本貸金業協会、中央大学文学部の有賀敦紀研究室が10月28日に公開しました。警察庁が協力しています。
「騙される30秒前」の画面。「+1」で始まり末尾が「0110」の番号から着信がある出典: 株式会社Classroom Adventure(報道用の素材)
着信の3分前から、他人のスマホを操作する
ゲームは、スマートフォン、タブレット、パソコンのブラウザーで遊べます。プレイヤーは、高校生(17歳)、社会人(42歳)、高齢者(70歳)の3人から1人を選び、その人のスマホを着信の3分前から操作します。1人あたりの体験は7〜11分で、そのあとに3〜5分の振り返りがあります。電話の声が中心なので、音を出せる場所で遊ぶ必要があります。
スマホの画面は、ふつうの機種と、高齢者向けの文字の大きな機種の2つを再現しています。ロック画面や通知、アプリの切り替えまで実際に動かせます。中には、メッセージアプリや銀行アプリなど架空のアプリと、主人公ごとに90〜226枚の写真が入っています。
対象は中学生から高齢者までです。家庭のほか、学校の授業、会社の研修、自治体や地域の防犯講座で使うことも想定しています。
再現されている手口
ゲームの中で進む手口は、警察庁が公表している例に沿っています。
- 末尾が「0110」の国際電話の番号からかけてくる
- 「あなたは逮捕される」と不安をあおる
- メッセージアプリのIDを追加させ、本人の名前入りの「逮捕状」を送ってくる
- 「誰にも話さないで」と口止めする
- ビデオ通話で偽の警察手帳を見せ、通話をつないだまま送金させる
発表によると、2025年に特殊詐欺に使われた電話番号の約75.5%は国際番号でした。ゲームの人物や団体はすべて架空ですが、手口と会話は実際の事例をもとに組み立て直したものです。
大阪では、件数は減っても被害額は1.6倍
警察庁によると、2025年のニセ警察詐欺は全国で1万1,014件、被害額は1,005億円で、特殊詐欺の被害額の約7割を占めました。件数が最も多い年代は30代で、次が20代です。
大阪府内でも、この詐欺の被害は重くなっています。大阪府警の速報値では、2026年9月末までのニセ警察詐欺は747件で、去年の同じ時期より13%減りました。それなのに、被害額は約97億6,000万円で、58%増えています。1件あたりの被害が大きくなっているということです。
被害者のうち65歳以上は38.7%でした。6割あまりは65歳より若い人で、「高齢者の詐欺」と思っていると、自分や子どもの世代が見落とされます。関西2府4県の手口ごとの数字は、関西2府4県の特殊詐欺とSNS型投資・ロマンス詐欺 警察の統計を図解にまとめています。
遊んだあとの振り返りの画面。実際の被害と、警察を名乗る電話への対策が出る出典: 株式会社Classroom Adventure(報道用の素材)
遊んだあとに、家族でできること
ゲームの振り返りでは、だまされた場面と、警察を名乗る電話がかかってきたときの対策が示されます。対策は、電話を切る、家族や友人に話す、相手に言われた番号ではなく警察相談専用電話の「#9110」で確かめる、の3つです。
3人は年齢も立場も違い、発表は「別々の結末を体験してみてください」と呼びかけています。家族で別々の人物を選んで遊び、終わってから話してみると、自分なら気づけたかを確かめられます。「ちょっと宅配便が届いた」のように、電話を切るためのひとことを普段から決めておくことも、振り返りの画面が勧めています。
声や顔をAIで作った詐欺への備えは、AIで作った顔や声の詐欺に備える 家族と店で決めておくことにまとめています。
大阪では、被害に遭うた人の6割あまりが65歳より若い人や。親だけやのうて、自分の分も一回遊んどこな。