ストーカーの加害者にGPS機器を着けさせ、被害者に近づいたら知らせる。そうした仕組みを、警察庁が有識者の検討会で議論すると報告しました。被害を防ぐための一歩ですが、制度の中身はこれから決める段階で、すぐ始まるものではありません。この記事は、国家公安委員会や犯罪対策閣僚会議などの公式資料をもとに、検討の中身と、今困っている人が使える手段をまとめます。
何が始まるのか
警察庁は2026年10月15日、国家公安委員会の会議で、「ストーカー行為等の規制等の在り方に関する有識者検討会」を開くと報告しました。同じ日の会見で、国家公安委員長は、加害者へのGPS装着と、カウンセリングなどの受診の義務付けについて、有識者の意見を聞きながら制度の設計に入ると説明しています。第1回の会合は10月19日の予定と報じられています。
背景には、2026年3月に東京都内の商業施設で起きた事件があります。ストーカー規制法の違反で刑事罰を受け、禁止命令なども受けていた男性が、被害者の女性を殺害しました。7月28日には、政府の犯罪対策閣僚会議が「詐欺及びストーカー被害拡大防止のための緊急対策」を決め、首相は加害者へのGPS機器の装着や、治療・カウンセリングの受診の義務化などを検討する必要があると述べています。
検討される仕組み
公式資料が示している方向は、次のとおりです。
- 加害者が被害者に近づいた場合に、被害者に知らせる仕組みなど
- 狙いは、被害者が危険性の高い加害者の接近を知り、接触を避けられるようにすること
- 一定の加害者に、治療やカウンセリングの受診を義務付ける仕組み(受け皿となる医療機関の確保も含めて検討)
いっぽうで、まだ決まっていないことが多くあります。
| まだ決まっていないこと |
公式資料の書き方 |
| 誰にGPSを着けるか |
「一定の加害者」とだけ書かれている |
| 何kmで知らせるか、期間 |
これから議論する |
| 警察にも通知するか |
書かれていない |
| 法改正の要否 |
書かれていない(「制度化すべく検討」) |
プライバシーや行動の自由との整合も、議題になると報じられています。
大阪・関西で相談するときにできること
ストーカーの相談は増えています。警察庁によると、2025年の全国の相談などの件数は22,881件(前年比16.9%増)で、禁止命令などは3,037件と、法律の施行以来最多でした。関西でも、2025年は大阪府警の相談受理件数が1,694件(前年より320件増)、京都府警の認知件数が498件(35.0%増)、兵庫県警の認知件数が1,237件(25.5%増)と増えています(府県で数え方が違うため、単純には比べられません)。
京都府警の「ストーカーかな?と思ったら」の案内出典: 京都府警察「ストーカー対策」(引用)
今の法律でも、使える手段があります。
- 警告と禁止命令: 警察からの警告や、公安委員会の禁止命令を出してもらえます。禁止命令の有効期間は1年で、延長もあります。違反してストーカー行為をすると、2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金です。
- 通報の備え: 110番緊急通報の登録や、警察によってはGPS機能つきの緊急通報装置の貸し出しもあります。
関西の主な相談窓口です。
- 緊急のとき: 110番。警察の相談は全国共通の #9110
- 大阪府警「ストーカー110番」: 06-6937-2110(24時間)
- 京都ストーカー相談支援センター: 075-415-1124(匿名で相談できる)
- 兵庫県警 ストーカー・DV相談電話: 078-371-7830(24時間)
- 法テラス 犯罪被害者支援ダイヤル: 0120-079-714(平日9時〜21時、土曜9時〜17時)
覚えておきたいこと
- 警察庁が、ストーカー加害者へのGPS装着や受診の義務付けを、有識者の検討会で議論すると報告(2026年10月15日)。
- 加害者が近づいたら被害者に知らせる仕組みが軸。対象、距離、期間、法改正の要否は、これから決める段階。
- すぐ始まる制度ではない。今困っている人は、110番・#9110や府県警の窓口に相談し、警告・禁止命令などの今ある手段を使う。