京都産業大学法学部の学生ボランティア「アベリア」が、京都府警察本部の犯罪抑止対策室と一緒に、商業施設の個室トイレでの盗撮を防ぐ策を考えました。大学は2026年10月19日、この取り組みを京都府内の大学の安全の協議会で発表したと公表しています。提案をもとに、今秋、京都市内の商業施設で形にする予定です。
何を発表した? 学生ボランティアが府警と協働
アベリアは、法学部の浦中ゼミの女性安全対策ボランティアです。京都府警察本部犯罪抑止対策室と協働で、京都市内の商業施設での盗撮防止プロジェクトを進めています。
このプロジェクトについて、9月4日に京都ガーデンパレスホテルで開かれた京都府大学安全・安心推進協議会の総会で報告しました。協議会は京都府内の大学でつくる組織で、会長は京都産業大学の副学長です。発表は、3年次生の学生が代表して行いました。
京都府大学安全・安心推進協議会の総会の会場(京都産業大学の発表より)出典: 京都産業大学(引用)
どう考えた? 「犯罪の機会」を減らす考え方で3つの立場に分けた
発表によると、学生はまずゼミの授業で、犯罪抑止対策室から京都府内の盗撮の現状と実態について講義を受けました。そこで、個室トイレでの盗撮が見過ごせない問題だと知ったといいます。
そのうえで、ゼミで学ぶ社会安全学の理論のうち、犯罪機会論に着目しました。犯罪が起きる機会そのものを減らして防ぐという考え方です。参考にしたのは、滋賀大学データサイエンス学部の島田貴仁教授の著書『犯罪予防の社会心理学』(2021年)です。
学生は、個室トイレの盗撮防止策を、次の3つの立場への対策に分けて考えました。
- トイレの利用者への対策
- トイレの管理者への対策
- 不審者への対策
この提案を犯罪抑止対策室に出し、対策室が商業施設の責任者と相談したうえで、今秋に成果物を実装する予定です。どの施設で、どんな形になるかは、発表に書かれていません。発表した学生は、成果物を幅広く使ってもらうことを目指したいとコメントしています。
盗撮は法律でどう扱われる? 2023年からの「撮影罪」
法務省によると、2023年6月16日に性的姿態撮影等処罰法が成立し、一部を除いて同年7月13日に施行されました。この法律では、主に次の行為が処罰の対象です。
- 他人の性的な姿などを、正当な理由なくひそかに撮影する行為
- その撮影で生まれた記録を人に渡したり、公然と並べたりする行為
- 渡したり並べたりする目的で記録を保管する行為
- 性的な姿を、ライブ配信で不特定・多数の人に送る行為
撮影罪の対象になる「性的姿態等」は、性的な部位、身に着けている下着のうち性的な部位を覆っている部分、わいせつな行為や性交等がされている間の姿などです。16歳未満の人を正当な理由なく撮影する行為も対象になります(13歳以上16歳未満の場合は、撮影した人が5歳以上年上のとき)。
法務省は、それまで盗撮は都道府県ごとの迷惑防止条例などで処罰されてきたものの、都道府県ごとに対象が違い、対応しきれない例があったと説明しています。
暮らしと仕事への影響
個室トイレは、だれもが毎日のように使う場所です。今回の取り組みは、利用者が気をつけるだけでなく、管理する側の工夫と、不審者が行動しにくい環境づくりを組み合わせて考えている点に特徴があります。
店や事業所を運営する人にとっても、利用者・管理者・不審者という3つの立場に分けて見直す視点は、トイレや更衣室の管理を考えるきっかけになります。実装される成果物の中身が分かれば、ほかの施設でも参考にしやすくなります。
利用する側も、個室に入るときに見慣れない物が置かれていないかに目を向け、気づいたら施設の管理者に知らせることができます。管理者に伝わる仕組みがあれば、ほかの利用者の被害も防ぎやすくなります。
大阪・関西では 京都府警の相談先と学生との協働
京都府警は2025年12月の府の広報紙で、受験期の痴漢と盗撮の撲滅に向けて重点的にパトロールしていると呼びかけていました。京都府内の電車や駅構内での痴漢や盗撮の被害は、京都府警察鉄道警察隊(075-682-0913)に相談でき、緊急のときは110番です。
急がない相談は、警察総合相談室(#9110)が使えます。府の広報紙では、電話の受付は平日の9時から17時45分としています。
今日からできること
- 緊急のときは迷わず110番に通報する
- 京都府内の電車や駅での痴漢・盗撮の被害は、鉄道警察隊(075-682-0913)に相談する
- 地域の防犯情報を受け取りたい人は、京都府警の防犯・犯罪情報メールに登録する
- 店や事業所の管理者は、トイレや更衣室を「利用者・管理者・不審者」の3つの立場から見直してみる
学生のアイデアが形になったら、どんな工夫か見てみたいところやね。