防災のメール配信で不正アクセスを受けた、大阪府箕面市の株式会社アルカディア。調査が進むなかで、被害が「緊急の連絡」のシステムにも及んでいたことが分かりました。消防の一斉連絡システム「119RAIDEN」と、聴覚・言語障害のある人のための119番「NET119」にも、不正アクセスの形跡が見つかったと公表されました。暮らしの安全に関わる仕組みが狙われた形です。
何が起きたのか
アルカディアによると、同社の防災一斉配信「SpeeCAN RAIDEN」が、第三者による不正アクセスを受けました(2026年10月11日に不審な挙動を確認、10月13日に公表)。その後の調査で、10月14日に、消防の一斉連絡システム「119RAIDEN」と、聴覚・言語障害者向けの119番「NET119」にも、不正アクセスの形跡が見つかったと追加で発表されました。
防災メール「SpeeCAN RAIDEN」の側は、関西でも堺市や生駒市、長浜市などで影響が出ています(それぞれ堺市・生駒市・長浜市の記事で取り上げています)。今回新たに分かったのは、この事故が「消防」や「緊急通報」のシステムにも広がっていた点です。
アルカディアが公表した不正アクセスのお知らせ(SpeeCAN RAIDEN等)出典: 株式会社アルカディア(引用)
漏えいの可能性がある情報
報道によると、漏えいの可能性がある情報は次のとおりです。いずれも最大の推定値で、確定ではありません。
- 119RAIDEN(消防の一斉連絡): 連絡先の氏名、メールアドレス(約9万7000件)、電話番号(約1万7000件)、FAX番号(約400件)、担当者、契約情報など。消防職員や消防団員などが対象とされます。
- NET119(聴覚・言語障害者向けの119番): 利用者の氏名、生年月日、性別、住所、電話番号、メールアドレス、FAX番号など(最大約1万3000件)。なお、映像での通報は、現時点で漏えいの可能性はないとしています。
NET119は、電話で話すことが難しい、聴覚や言語に障害のある人が、スマートフォンの文字などで119番通報をするための大切な仕組みです。その登録情報が対象に含まれる点で、弱い立場の人に関わる事故でもあります。
緊急時はどうなるのか。登録者が気をつけること
アルカディアは、119RAIDENとNET119について、現時点でサービスの停止は検討しておらず、通常どおり使える状態だとしています。つまり、いざというときの通報・連絡は、引き続きできます。そのうえで、登録している人が気をつけたいのは、次の点です。
- 不審な連絡に応じない: アルカディアや自治体、消防をかたる、不審なメール・SMS・電話で、氏名・住所・パスワード・口座情報などの入力を求められても、応じないでください。身に覚えのないURLや添付ファイルは開かないようにします。
- 自治体・消防の案内を確認する: 自分が対象かどうかや、今後の対応は、登録している自治体や消防、アルカディアからの案内で確認します。会社は個人情報保護委員会へ報告し、警察や近畿総合通信局などへも相談しているとしています。
- 問い合わせはメールも: 問い合わせが集中しており、電話がつながりにくい場合は、同社はメール(info@arcadia.co.jp)での連絡を案内しています。
関西の暮らしへの影響
アルカディアは箕面市の会社で、同社のサービスは全国の自治体や消防で使われています。防災メールの側では、すでに関西の複数の自治体で影響が出ています。今回の119RAIDENやNET119の対象に、関西の消防や利用者が含まれるかは、各自治体・消防からの個別の案内で分かります。
緊急・防災の仕組みは、止まると命に関わるため、停止せずに使える状態が保たれているのは重要です。一方で、登録した個人情報が狙われた以上、便乗した不審な連絡が増えるおそれがあります。緊急時には落ち着いて使いつつ、身に覚えのない連絡には情報を渡さない。この二つを、登録者も周りの人も意識しておきたいところです。