液晶パネルを作っていた堺の工場で、いまはAIの計算をする機械が動いています。KDDIが2026年1月に動かし始めた「大阪堺データセンター」です。
10月27日には、大阪のオプテージが、関西のデータセンター(DC)のエリアどうしを専用の光ファイバーで結ぶサービスを、2026年度中に始めると明らかにしました。同社は、彩都やけいはんなを中心に、関西でも大規模なDCの建設が進んでいると説明しています。どこに何ができているのか。各社の公式の発表から、2枚の図にまとめました。
北大阪、けいはんな、堺に計画が集まる
関西の主なデータセンターの施設と計画(編集部作成)作成: 編集部 / 出典: 西のITメディア編集部
各社の発表を並べると、大きな計画は、大阪の都心の外側の3つのエリアに集まっています。表の規模は発表の書き方のままです。受電容量(施設全体が受け取る電力)とIT容量(サーバーに回せる電力)は数え方が違うため、数字をそのまま比べることはできません。
| エリア |
事業者 |
中身と時期 |
規模(発表どおり) |
| 北大阪(箕面市彩都) |
MCデジタル・リアルティ |
4棟目の「KIX13」を2023年2月に開設 |
キャンパス全体でIT容量70MW超 |
| 北大阪(箕面市) |
ESRとColt DCS |
第1期は2027年に着工、2029年後半に稼働の見込み |
130MWの計画(第1期は65MW) |
| 北大阪(茨木市) |
NTTグローバルデータセンター |
「大阪北データセンター」の第一期棟は2027年度下期 |
完成時のIT容量36MW |
| けいはんな |
関西電力サイラスワン |
「OSK1」の最初の16MWは2028年第1四半期までに稼働の予定 |
総受電容量70MVA、データ容量48MW |
| けいはんな(京都府相楽郡) |
NTT |
「京阪奈データセンター(仮称)」は2025年度下半期にサービス開始の予定(2022年の発表) |
IT容量30MW |
| 堺 |
KDDI |
「大阪堺データセンター」が2026年1月に稼働 |
延床約5万7,000m² |
| 堺 |
ソフトバンク |
2026年中の稼働開始をめざす |
受電容量約150MW、将来は250MW超 |
堺の2つは、どちらもシャープの液晶パネル工場の土地と建物を使います。KDDIは、工場の大きな電力と冷却の設備を再利用し、短い期間で建てられたとしています。10月27日には、2027年度に新しい世代のGPUサーバーを入れ、建屋の中にコンテナ型のDCを整える計画も示しています。
けいはんなでは、関西電力が米国のDC事業者と組んだ関西電力サイラスワンが、1号のDCを建てています。同社は、今後10年ほどで総受電容量900MWの事業規模をめざし、1兆円を投資するとしています。
なぜ関西なのか
関西にデータセンターが増える理由と、暮らしや仕事との関係(編集部作成)作成: 編集部 / 出典: 西のITメディア編集部
まず挙げられるのは、首都圏への集中です。総務省の令和7年版情報通信白書は、国内のDCの立地のおよそ9割が東京圏と大阪圏に集まっていると書いています。大震災などで被災すると、通信サービスに全国規模の影響が出るおそれがあるという指摘です。オプテージも、重要なデジタルインフラが首都圏に集まっていることを挙げ、分散と回線の強化が課題だとしています。
とはいえ、国の考えは「関西に移せばよい」で終わりません。総務省と経済産業省の2025年5月の資料は、新しい集積地を選ぶとき、今ある集積拠点から離すことを案として挙げています。関西は、すでにある拠点の側に入ります。
もう一つの理由は、電力と土地。同じ資料は、集積地の候補を電力の設備から考え、通信の地中化や地盤、土地の広さ、交通の便を重ねるとしています。ソフトバンクは、250MW規模の電力の供給を受けられることを、堺の土地や建物を買う条件にしました。NTTは、茨木市の海抜36m、京都府相楽郡の海抜約94mの平地を、災害のリスクが低い場所と説明しています。
DCどうしを結ぶ回線
オプテージの「Flex Dark Fiber」は、ほかと共有しない光ファイバーの芯線(ダークファイバー)を、2心単位でDCどうしに貸すサービスです。違う道筋の回線を組み合わせれば、1本が切れても止まりにくい形にできます。
大阪中心部と彩都の間は地中のルートを使い、同社の調べで最短の距離でつなぎます。このルートは1000心規模に増やします。同社は、大阪の曽根崎や堂島のDCと、名古屋や東京のDCを結ぶ回線も持っていて、関西のDCどうしと、東京のDCとの間の両方を、自前の回線で結べることになります。
暮らしと仕事への影響
ネットの買い物や銀行のアプリ、会社で使うクラウドのサービスは、どこかのDCで動いています。白書が指摘するように、DCが1か所に偏るほど、大きな災害のときに止まる範囲は広がります。
関西の会社がAIを使う場面では、データをどこで処理するかが選ぶときの目安になります。KDDIは、大阪堺のGPUで動くAIについて、推論のデータは国内で処理されると説明しています。
建てる地域にとっては、仕事が増える期待と、音や見た目の心配の両方があります。関西電力サイラスワンは、建てる間から動かしたあとまで地域に多くの仕事を生むとしています。非常用の電源や冷却の機械には防音をし、機械が外から見えない外観にしたと説明しています。国の資料も、集積地をつくるには、地域との共生の観点から自治体の関与が要るとしています。
彩都やけいはんなの丘の大きな建物、ネットの裏側を支えとるんやな。