スマホの「実際の速さ」は、どこで、何か所で測っているのでしょうか。携帯電話会社のページに載っている「実効速度」は、総務省のガイドラインに沿って、全国の約1500地点で測った結果です。総務省は10月26日、この地点を約700地点に減らす改正案を、情報通信審議会の消費者保護政策委員会に示しました。
実効速度は、広告に出る通信規格の上の「最大速度」とは別に、実際にデータを送り受けして測った速度です。最大速度だけでは実際に出る速さが分からず、会社ごとの比べ方もばらばらだったため、総務省が2015年7月にガイドラインを作りました。今はドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社が毎年度測り、各社のページと総合カタログに載せています。
約1500地点を約700地点に 改正案の中身
| 項目 |
今のガイドライン |
改正案 |
| 測る都市 |
東京23区と、人口で分けた3つの区分から3都市ずつの計10都市 |
変わらない |
| 区画(500メートル四方) |
10都市で約300区画 |
約140区画 |
| 1区画で測る地点 |
ランダムに5地点 |
変わらない |
| 地点の合計 |
約1500地点 |
約700地点 |
| 1都市の区画の下限 |
14区画(オフィス街・繁華街と住宅街で7区画ずつ) |
6区画(3区画ずつ) |
測る時間帯は、オフィス街・繁華街の区画が正午から18時まで、住宅街の区画が15時から21時までです。1地点で3回測って平均をとり、屋外で立ち止まった状態で測ります。
総務省が示した改正の方向性。地点を約1500から約700に減らす(資料4-1)出典: 総務省(公共データ利用規約(第1.0版)に準拠した総務省ホームページの利用条件による。出典: 総務省「消費者保護政策委員会(第11回)資料4-1」・PDFの1ページを画像にしたのみ・2026-10-26確認)
総務省は理由として、測る会社の負担を軽くし、計測を続けられるようにすることを挙げています。委員会には、消費者保護の点から意見を求めました。改正の時期は、資料に書かれていません。
減らしても結果は変わらないのか
地点を減らせると判断したのは、通信業界の団体でつくる電気通信サービス向上推進協議会の、実効速度適正化委員会の検証です。2015〜2025年度の各年度の計測データを使い、地点を減らしたときに速さの分布が1500地点の場合とどれだけずれるかを、「KS検定」という統計の方法で比べました。
地点を減らしたときの結果のずれ。700地点以上なら1500地点と同じ結果になる(資料4-1)出典: 総務省(公共データ利用規約(第1.0版)に準拠した総務省ホームページの利用条件による。出典: 総務省「消費者保護政策委員会(第11回)資料4-1」・PDFの1ページを画像にしたのみ・2026-10-26確認)
ずれを表す数値が0.05未満なら、ほぼ同じ結果とみなします。資料のグラフでは、700地点以上(140区画)なら1500地点と同じ結果になり、600地点以下(120区画)では違う結果になりました。総務省は、消費者への影響は特にないとしています。
大阪・京都・堺は、どの会社の計測に入っているか
10都市は、政令指定都市と県庁所在地を人口で3つに分け、その中から選びます。ドコモのページによると、選ぶのは中立的な機関で、各区分からランダムに選びます。実際に、会社によって測った都市は違います。各社のページに出ている最新の計測(2026年1〜3月など)では、関西からは次の都市が入っています。
| 会社 |
関西で測った都市 |
10都市の一覧 |
| NTTドコモ |
大阪市 |
東京23区、仙台市、大阪市、広島市、浜松市、静岡市、熊本市、山形市、甲府市、松江市 |
| KDDI(au) |
京都市 |
東京23区、札幌市、新潟市、津市、京都市、広島市、山口市、北九州市、熊本市、佐賀市 |
| ソフトバンク |
堺市 |
東京23区、札幌市、さいたま市、広島市、新潟市、堺市、熊本市、福島市、長野市、長崎市 |
ソフトバンクのページでは、堺市は70地点を測っています。今の下限の14区画に5地点ずつです。改正案のとおりになると、都市ごとの下限は6区画、30地点になります。
スマホを選ぶ前にできること
- 各社の実効速度のページを開き、「実効速度計測結果検索」で都道府県と市区町村を選ぶ。大阪市、京都市、堺市の区ごとの地点の結果を見られる
- 全体の結果は「箱ひげ図」で見る。ドコモとauのページでは、測った値のうち中央値に近い半数(25%値から75%値)が入る範囲を、実効速度として示している
- 数字は、屋外で立ち止まって測った値として読む。建物の中や電車の中では、違う速さになることがある
- 会社を比べるときは、測った都市と時期、機種がそれぞれ違うことに気をつける
店や会社の窓口では、契約の前に実効速度を紹介することが望ましいと、総務省の消費者保護のガイドラインに書かれています。気になる人は、契約の前に自分の住む街の結果を聞いてみるのも手です。