宿泊予約サイト「アゴダ(agoda)」の利用規約 が、消費者 団体との裁判上の和解を受けて改められました。消費者庁 が2026年10月16日に公表しました。旅行 の予約で使う人も多いサイトです。何が問題にされ、規約の何が変わったのかを、消費者庁の資料と今の規約をもとにまとめます。
何が問題にされたのか
訴えたのは、内閣総理大臣が認定した適格消費者団体の「埼玉消費者被害をなくす会」です。シンガポールのAgoda Company Pte. Ltd.と日本法人のAgoda International Japanを相手に、2023年12月6日、さいたま地裁に訴えました。利用規約の9つの条項が、消費者契約 法の8条(事業者の賠償責任を免除する条項の無効)や10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)に当たり無効だとして、使わないよう求めたものです。
消費者庁の資料によると、問題にされたのは次のような条項です。
サービスの品質などの保証を一切せず、消費者に生じた損害の賠償責任をすべて免れる
法的な根拠を問わず、一切の責任を負わない
宿泊施設などから受けた損害の責任をすべて免れる
故意や重い過失がある場合でも、責任を一部免れる
救済の手段が違法な場合でも、責任の免除に同意させる
過大請求や誤請求の返金を「可能な限り早く」申し立てるよう求め、「不当に遅れて」申し立てた請求は無効になる場合がある
予約のリクエストを理由なく断り、成立した予約を理由なく取り消せる
アゴダの裁量で、返金を受ける権利をなくせる
消費者に、弁護士費用も含めた広い補償を求める
理由のない取り消しについて、団体は「消費者は予約が理由もなくキャンセル等されることはないと信頼して旅行計画を立てており」と主張していました。
和解で何が変わったのか
和解は2026年7月16日、さいたま地裁で成立しました。アゴダが規約を英語版と日本語版の両方で改めたこと(2026年7月10日施行、バージョン6.3)を確かめたうえで、問題の条項を使うのをやめたこと、今後も使わないことを約束する内容です。お金の支払いの定めはありません。
アゴダの今の利用規約。バージョン6.3、2026年7月10日施行 出典: Agoda (引用)
今の規約(バージョン6.3)を読むと、主に次の点が変わっています。
項目
今の規約
予約の拒否・取り消し
規約の違反、詐欺の疑い、技術的な障害など、書き並べた理由がある場合に限る。支払い済みの代金は、その予約の返金ポリシーに従って返す
責任の免除
「故意または重大な過失による場合を除き」と書き加えた
賠償の上限
確認メールの合計額か250米ドルの低い方。故意・重い過失の場合を除いて残る
過大請求・誤請求
申し立ての時期を限る書き方がなくなった
補償
違法・不適切・不正な利用などに限る形になった
団体は、指摘した問題点を全面的に直す修正だったと評価しています。一方で、過去の予約者への返金などは、どこにも書かれていません。
大阪・関西でも 予約サイトの規約は直されてきた
関西でも、適格消費者団体の消費者支援機構関西(KC's)が、宿泊予約サイト「トクー!」の会員規約の改善を求め、2018年に免責の条項を改めさせた例があります。サイトを止めたときの損害について、会社が責任を負うのを故意や重い過失の場合に限っていた条項を、通常の過失でも責任を負う形に直させました。
海外の会社とのトラブルについて、大阪府は、宿泊予約などで海外の事業者ともめたときの相談先として「越境消費者センター(CCJ)」を案内しています。英語の翻訳の手伝いや、海外の窓口を通じた働きかけもしてくれます。
予約の前にできること
国民生活センターの呼びかけをもとに、予約の前に確かめたいことです。
サイトを運営する会社が、日本の会社か海外の会社かを確かめます。海外の会社には旅行業法が適用されません。サイトが日本語でも、日本語で対応してくれるとは限りません。
海外の会社なら、問い合わせ窓口の連絡方法や受付時間を確かめます。
キャンセルの条件を、プランごとに確かめます。「キャンセル料100%」のプランは、予約が確定すると変更できず、取り消しても全額がかかります。
予約の確認画面のスクリーンショットを残しておきます。
もめたときは、消費者ホットライン(188)か、海外の会社なら越境消費者センターに相談します。
覚えておきたいこと
アゴダの規約から、理由なく予約を取り消せる条項や、責任をすべて免れる条項が削られた(2026年7月10日施行の規約)。
賠償の上限(確認メールの合計額か250米ドルの低い方)は、故意・重い過失の場合を除いて残る。過去の予約者への返金は書かれていない。
予約の前に、運営会社が日本か海外か、キャンセルの条件、問い合わせ窓口を確かめる。