銀行のネットバンキングやキャッシュカードの守りは、どこまで進んだのか。金融庁は2026年10月16日、全国の銀行や信用金庫、農協などに聞いた、不正送金の対策の調査結果を公表しました。前の年の調査や、被害の数字とあわせて見ると、自分で確かめておきたい点が見えてきます。
調査で分かったこと
2026年3月末時点で、銀行・信用金庫・信用組合・労働金庫・農協などに聞いたアンケートです。任意の回答で、速報の数字とされています。主な結果を、前の年の調査と並べました。
| 項目 |
2025年3月末 |
2026年3月末 |
| 個人向けネットバンキングで、1回ごとに変わるパスワードを入れている機関 |
99.5% |
99.5% |
| そのうち、乱数表を使う機関(複数回答) |
21.2% |
21.1% |
| パスワード生成機を使う機関(複数回答) |
94.5% |
94.5% |
| キャッシュカードのうち、ICチップ付きの割合(発行枚数) |
47.6% |
49.7% |
| 生体認証付きのキャッシュカードを出す機関 |
17.2% |
11.3% |
| 国内のデビットカードの不正利用を「原則補償」とする機関 |
91.8% |
90.0% |
| 国際ブランドのデビットカードで、海外での不正利用を「原則補償」とする機関 |
65.8% |
46.7% |
目立つのは、海外での不正利用の補償です。2026年の調査では、国際ブランドのデビットカードを出す75機関のうち、「原則補償」は35機関、「事案により個別に判断」は26機関、「補償しない」は2機関でした。残る12機関は、どの答えにも数えられていません。また、ICチップの付いたカードは、発行されたキャッシュカードの約半分です。生体認証付きのカードを出す機関は、196機関から127機関に減りました。減ったのは主に農協などで、70機関から8機関になっています。
被害の状況 補償は3件に1件
金融庁が2026年6月30日に公表した数字では、ネットバンキングによる不正送金(個人と法人の合計)は、2024年度の11,896件から、2025年度は3,946件に減りました。一方で、1件あたりの平均の被害額は146万円から360万円と、2倍以上になっています。
金融庁の公表資料。ネットバンキングの不正送金は2025年度に3,946件、平均360万円出典: 金融庁(引用)
2025年度の被害で、金融機関が扱いを決めた3,649件のうち、全額または一部が補償されたのは1,184件(32.4%)でした。前の年度の78.9%を大きく下回ります。補償されなかった理由の内訳は、この資料には書かれていません。金融庁は、被害の多くは、メールやSMSなどで偽のログインサイトに誘導し、IDやパスワードを盗む手口によるものだとしています。
大阪・関西でもできること 府警が勧める守り
大阪府警は、ネットバンキングを使う人に向けて、次のような守りを勧めています。
- ワンタイムパスワードを使う
- 送金通知サービスを設定する。送金のたびにメールが届けば、身に覚えのない送金にすぐ気づき、銀行に連絡して止められる可能性がある
- 金融機関からのメールのURLを安易に押さず、電話などで内容が正しいかを確かめる
- ログイン用のIDやパスワード、送金用のパスワード(乱数表の数字など)を厳しく管理する
会社の口座を任されている人は、電話を使う「ボイスフィッシング」にも注意が要ります。府警は、銀行を名乗る電話(自動音声のこともある)でメールアドレスを聞き出し、偽のメールを送って法人口座から送金させる手口が全国で続いており、1社あたり数億円規模の被害もあると呼びかけています。
今日からやること 自分の口座で確かめる
- ネットバンキングの認証の方法を確かめます。乱数表を使っている場合は、銀行がワンタイムパスワードを用意していないかを確かめ、あれば切り替えを考えます。
- 送金通知(メールやアプリの通知)をオンにします。
- ログインは、銀行の公式アプリか、自分で登録したブックマークから行います。メールやSMSのリンクからは入りません。
- デビットカードを海外で使うなら、銀行の規定で、海外での不正利用の補償の条件を確かめます。
- キャッシュカードにICチップが付いているかを見ます。付いていなければ、ICカードへの切り替えを銀行に相談します。
覚えておきたいこと
- 金融庁の調査で、1回ごとに変わるパスワードは99.5%の機関が導入。乱数表を使う機関は21.1%で、ほぼ横ばい。
- 海外での不正利用を「原則補償」とする国際ブランドのデビットカードは46.7%。補償の条件は銀行ごとに確かめる。
- 2025年度のネット不正送金は1件平均360万円で、補償は32.4%。送金通知とワンタイムパスワードで守りを固める。