大阪府枚方市は10月23日、民泊(住宅宿泊事業)に市独自のルールを設ける条例の骨子について、8月に募った意見と市の考え方を公表しました。住居専用地域での民泊を原則として制限し、苦情を受けたらおおむね10分で現地に駆けつける体制などを、すでにある事業者も含めて義務づける考えです。近くで民泊が始まったときに住民が知っておきたい点を整理します。
枚方市が公表した、民泊の条例の骨子への意見と市の考え方(1ページ目)出典: 枚方市(引用)
何が決まりそう? 住居専用地域は原則として制限
条例の仮の名前は「(仮称)枚方市住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する条例」です。市は、住宅宿泊事業法にもとづく基準に加えて、事業を行う区域や期間に一定のルールを設け、周りの地域の生活環境を守るとしています。
市が意見への考え方の中で示したルールは、次のとおりです。
- 住居専用地域での民泊を原則として制限する。例外は、市が公表する「地域の活性化を目的とした計画」などにもとづく活用で、近所への迷惑を減らす対策をとる場合に限る
- 苦情や問い合わせの連絡を受けてから、休日や夜を含めておおむね10分程度で現地に駆けつけ、対面などで宿泊者に注意する体制を、事業者に義務づける
- 法律で決まった標識のほかに、夜でも敷地の外から届け出た民泊だと分かる看板などを出させる
- 民泊を始める前に、近所の住民に知らせることと、緊急の連絡先を伝えることを義務づける
- これらは、すでに市内で営業している事業者にも求める(規則で定める予定)
ルールに違反する事業者には指導を徹底し、従わない場合は、市独自の罰則ではなく、法律にもとづく業務改善命令や事業廃止命令なども含めて対応するとしています。
寄せられた意見は65件 一番多いのは民泊そのものへの反対
意見の募集は2026年8月6日から26日まで行われ、53人から65件(一人の意見を内容ごとに分けて数えた件数)が寄せられました。主な意見と市の考え方は次のとおりです。
| 意見の中身 |
件数 |
市の考え方 |
| 民泊の制度そのものに反対、廃止を求める |
27件 |
法律にもとづく制度で、一律の禁止は難しい。独自のルールで生活環境を守る |
| 例外の規定に反対 |
10件 |
例外は限定的にし、地域の活性化の計画と迷惑を減らす対策を条件にする |
| 改善命令や業務停止など厳しい処分を求める |
13件 |
法律の罰則などを厳格に当てはめる |
| 始める前の近所や自治会の同意を義務に |
6件 |
住民どうしの不和や負担を招くおそれがあるため義務にせず、事前の周知を市が厳しく確かめる |
| すでにある事業者への規制を強めて |
3件 |
すでにある事業者を含め、10分で駆けつける体制や看板を義務づける |
| 24時間の苦情の窓口と市への通報の窓口を |
2件 |
緊急の連絡先の事前の周知を義務づける |
一方で、地域を一律に規制するのは行き過ぎで、事業者の管理体制を高めるべきだという意見もありました。市は、民泊が増えるほど住民の困りごとが増えるおそれがあり、特に静かな住宅地の環境を保つため、区域や期間のルールが必要だと答えています。条例をいつ議会に出し、いつから適用するかは、今回の公表には書かれていません。
暮らしへの影響
住居専用地域に住む人にとっては、家の近くで新しく民泊が始まることが、原則としてできなくなる方向です。すでにある民泊にも、10分で駆けつける体制や夜でも見える看板が求められる予定で、騒音やごみ出しなどで困ったときに、連絡先が分かりやすくなります。
民泊を営んでいる人や始めようとしている人は、物件のある地域が住居専用地域かどうかで、続けられるかどうかが変わる可能性があります。条例の案や施行の時期が示されたら、市のページで確かめる必要があります。
近くに民泊があるとき、今日からできること
- 標識を見る: 事業者が不在になる民泊には、24時間連絡がつく連絡先を標識などで示すことが、法律で決まっています。困ったときは、まずそこに連絡します。
- 改まらないときは市に相談する: 事業者に伝えても改まらないときは、民泊を担当する市の窓口(保健衛生課)に相談します。
- 建築協定の地区なら、協定での禁止も考えられる: 市によると、民泊は建築基準法の上で「住宅」として扱われるため、住居専用地域でも届け出れば営業できます。建築協定の地区では、加入者どうしで話し合い、協定書に民泊を禁止する基準を入れることができます。
大阪・関西では
枚方市は、国家戦略特区の「外国人滞在施設経営事業」(特区民泊)の制度を導入しておらず、市内で行われることはないとしています。今回のルールは、住宅宿泊事業法にもとづく民泊が対象です。
市によると、2025年7月の時点では、法律の第18条にもとづいて事業の区域や期間を制限する条例は作っておらず、状況を見ながら必要に応じて考えるとしていました。市は、住宅宿泊事業について規制している建築協定の地区の一覧も公開しています。
たとえば、京阪沿線の住宅地で子育てをしている家庭なら、近所の空き家が民泊になるという話を聞いたとき、そこが住居専用地域かどうかと、地区に建築協定があるかを確かめておくと、市や事業者と話すときの手がかりになります。
近所の民泊で困ったら、まずは標識の連絡先に電話してな。