受発注の仕組みもホームページも、長年付き合いのある小さなソフト会社に任せている。そんな会社にとって、気になる数字が出ました。
東京商工リサーチは10月27日、ソフトウェアの開発などを担う情報サービス業の業績の調べを公表しました。業界全体ではもうけが過去最高になった一方で、その多くは大手が占め、小さな会社の倒産はこの10年で最も多くなっています。
利益は5年で1.8倍
調べたのは、5年続けて業績を比べられる4,417社です。2025年度の売上高は32兆6,569億円で前の年度より7.7%増え、当期利益は3兆2,755億円で28.9%増えました。どちらも、この5年で最高です。
2021年度と比べると、売上高が32.4%増えたのに比べ、当期利益は81.8%増。もうけの伸びが売り上げの伸びを大きく上回りました。同社は、DXの需要と生成AIの広がりで、仕事の付加価値が上がったとみています。
情報サービス業4,417社の売上高と当期利益の推移出典: 東京商工リサーチ TSRデータインサイト(引用)
伸びたのは大手
ところが、伸び方は会社の大きさで違います。2021年度から2025年度にかけて、当期利益は従業員300人以上の会社で82.0%増えましたが、49人以下の会社では33.5%増にとどまりました。
2025年度の当期利益のうち、300人以上の会社が86.3%を占めます。49人以下の会社は1.0%だけです。会社の数では、49人以下が2,448社と半分を超えています。
赤字の会社の割合にも差があります。300人以上の会社は4.2%、49人以下の会社は21.7%で、5倍以上の開きです。同社は、大手や中堅は待遇を良くして高度なIT人材を集め、大きな案件や専門性の高い案件を受けているとしています。
従業員の数で分けた赤字の会社の割合出典: 東京商工リサーチ TSRデータインサイト(引用)
倒産は10年で最多
差は倒産の数にも表れています。2026年度上半期(4〜9月)の情報サービス業の倒産は174件で、前の年の同じ時期より41.4%増え、2017年度以降の10年で最多でした。このうち143件、82.1%が従業員5人未満の会社です。
同社は、AIを開発を効率よくする手段にとどめず、取引先の業務の知識やセキュリティの対応と組み合わせて、付加価値の高いサービスにすることが大事になるとみています。
小さなIT会社に任せている会社がやること
大阪や京都の町工場や商店で、受発注の仕組みや会員のデータの管理を近くのソフト会社に任せているなら、次の点を見ておくと安心です。
- 保守の契約書で、契約が終わるときのデータやプログラムの引き渡しの決まりを確認する
- 業務のデータのバックアップを、自社の手元にも置いておく
- 担当の人が一人だけなら、ほかに連絡がつく人や、代わりに頼める会社の目星を付けておく
IT業界で働く人や、これから就職する人にとっても、会社の大きさで伸びや待遇が分かれつつあることを示す数字です。
長い付き合いの会社ほど、契約書は棚の奥やったりするもんな。