11月3日の米国の中間選挙で、AIを動かすデータセンターが争点になりました。TIMEによると、NBCの出口調査では56%の人が、AIとデータセンターが連邦議会の投票の「決定的か大きな要因」だったと答えました。
Scripps Newsによると、テキサス、オハイオ、ジョージアの知事選では、建設の停止や厳しい条件を掲げた候補が勝ちました(テキサスの得票は非公式の集計)。ロイターが伝えた6月の調査でも、自分の地域にAIのデータセンターが建つことを支持した人は14%でした。ただし、ゴールドマン・サックスは2027年までの成長の見通しはほぼ変わらないとみています。
では、関西の電気はどうなるのか。全国の電力の調整役である電力広域的運営推進機関が、1月に出した10年の見通しから読み取れます。
家庭は減り、データセンターなどが増える
| 関西の年間の電力量 |
2026年度→2035年度 |
| 家庭用その他 |
480億kWh→449億kWh(6.4%減) |
| 業務用 |
344億kWh→360億kWh(4.8%増) |
| 産業用その他 |
485億kWh→561億kWh(15.7%増) |
| 合計 |
1,309億kWh→1,370億kWh(4.7%増) |
全国の傾向として、家庭の電気は人口減少と省エネで減っていきます。増える側の関西の数字には、既にあるデータセンターの増設(業務用)と、データセンターや半導体工場の新増設(産業用その他)が入ります。もちろん、産業用の増加がすべてデータセンターの分というわけではありません。
電気を最も使う夏の最大需要は、2,688万kWから2,774万kWへ3.2%増える見通しです。10年で3%と聞くと小さく見えますが、家庭が減る中での増加です。
関西だけのデータセンターの量は公表されていません。個別の需要が特定されないよう、中部と関西をまとめた線で示されているからです。グラフから読むと2035年度に約175万kWで、東京の4割ほどです。
データセンターと半導体工場の増加の見通し。中部・関西は灰色の線出典: 電力広域的運営推進機関「全国及び供給区域ごとの需要想定(2026年度)」別添図1-5(引用)
見通しはよく動きます。データセンターの工事の延期や計画の変更で、全国の数字は2033年度まで前回の見通しを下回りました。
この冬は足りる。余裕が薄いのは2028年度から
10月28日の需給検証によると、過去10年で最も厳しい寒さを想定しても、今冬の関西の予備率は1月前半の4.5%が最低です。基準の3%は上回ります。
先の年度には別の数字が出ています。2026年度の供給計画の取りまとめでは、関西の「年間EUE」が2028〜2030年度に目標を超えます。1kWあたり1年に見込まれる停電の量を示す指標で、低いほど安定しています。
| 年度 |
関西の年間EUE(目標) |
| 2028年度 |
0.065(0.054) |
| 2029年度 |
0.063(0.038) |
| 2030年度 |
0.053(0.038) |
資料が挙げる理由は、発電所の休止や廃止などです。データセンターだけのせいではありません。目標を超えても停電が決まるわけではなく、同機関は必要なら国などと追加の調達を検討する立場です。2031年度からは、目標の内側に戻る見通しです。
関西の暮らしへの影響
急に電気が足りなくなる話ではありません。それでも、米国の争いは他人事でもないと編集部はみています。問われているのが「地域に何が返るのか」だからです。オハイオ州で勝ったエイミー・アクトン氏は、新しいデータセンターに公共料金の全額負担や、農地でなく工場跡への建設を求めました。
電気代への影響は、米国でも一様ではありません。FactCheck.orgによると、データセンターが料金を押し上げることはあっても全米の値上がりの主因ではなく、影響は送電網の事情で変わります。関西の電気代への影響を示す公的な試算は、今回の資料にはありません。
日本でも千葉県印西市では、住民が建築確認の取り消しを求める訴えを起こしています。心配の中身は排熱、騒音、日照、計画段階の説明の足りなさです。関西で同じような訴えは、編集部では確認していません。
計画が集まる北大阪、けいはんな、堺の様子は関西のデータセンターの図解でご覧いただけます。
AIは雲の上やなくて、どこかの町の建物で動いとるんや。電気の見通し、たまに覗いとこか。