大阪市水道局は2026年10月2日、京都市上下水道局、関西電力送配電(以下、関西送配電)と「水道スマートメーターを活用した水量計測に係る連携協定」を結びました。各家庭にある電気のスマートメーターの通信網を使って、水道の使用量を自動で集める「自動検針」を、3者で一緒に進めるための協定です。大阪市と関西送配電の発表、協定書をもとに、中身と暮らしへの関わりを整理します。
電気のスマートメーターの通信網で、水道の使用量を集める
水道スマートメーターは、通信の機能をもつ水道メーターです。今回の仕組みでは、水道メーターにつないだ無線の端末から、各家庭の電力スマートメーターを経由して検針の値を送ります。電力スマートメーターは、電気の使用量を30分ごとに計測・記録できる、通信の機能をもつメーターです。
関西送配電は2026年1月5日から、第2世代の電力スマートメーターの設置を始めました。京都市の発表によると、このメーターには水道やガスの検針データも通信できる機能を載せられます。関西送配電は、無線端末・通信ネットワーク・監視システムを組み合わせた「共同検針」のサービスとして、水道やガスの事業者に提供するとしています。
関西送配電が示す共同検針の仕組み。水道メーターの値を電力の通信網で集める出典: 関西電力送配電「電力通信網を活用した水道・ガスの自動検針サービス(共同検針サービス)」(引用)
関西送配電は、この仕組みの特徴として、通信の距離が短いため水道メーターボックスの鉄のふた越しでも通信が安定することや、今ある通信網を共用するので検針の費用を下げられることを挙げています。
協定で3者が取り組むこと
これまで大阪市と京都市は、それぞれ関西送配電と組んで、水道の自動検針の取り組みを進めてきました。今回の協定は、別々に進めてきた取り組みの成果や課題を3者で共有し、次の5つで連携するものです。
- 水道スマートメーターの運用
- 検針・保守の業務の効率化
- 実証の結果、運用のノウハウ、課題の共有と活用
- 漏水の検知や災害対応などへのデータの活用
- 将来の自動検針・共同検針の実用化に向けた課題の整理
協定書では、3者で協議体を設けること、協定にもとづく費用は原則としてそれぞれが負担することを定めています。協定の期間は、2026年10月2日から2028年3月31日までです。3者は、将来は他の地域への展開や社会実装につなげ、水道事業の持続可能な運営に役立てるとしています。
大阪市が公表した三者連携のイメージ。両市と関西送配電の知見を共有する出典: 大阪市「大阪市水道局は水道スマートメーターを活用した水量計測に係る連携協定を締結しました」(引用)
京都市は2027年3月ごろから一部の地域で始める予定
京都市上下水道局は2026年2月27日、関西送配電と基本協定を結びました。北部山間地域の約5,000戸と、伏見工業高等学校跡地・元南部配水管理課用地の住宅街区の約600戸に、2026年度から2028年度の3年間で水道スマートメーターを設置します。共同検針は、2027年3月ごろから順次始める予定です。京都市は、いまは点検員が目で見て検針しており、人口が減るなかで担い手の確保が課題だと説明しています。
関西送配電は共同検針のサービスの事業化を決めています。システムの開発・改修を終えたあとの2027年度上期をめどに、提供の規模を広げる予定です。
大阪・関西では、2030年代中に大阪市内全域への導入をめざす
大阪市水道局は2024年2月29日から、関西送配電と共同研究を進めています。期間は2028年3月31日までで、電力スマートメーターの通信網で水道の検針データを安定して送れるかを、大阪市内で確かめるものです。大阪市によると、電力スマートメーターの通信インフラを使ったこうした取り組みは、関西エリアで初めてでした。
背景には通信の課題があります。大阪市が2025年度に策定した「大阪市水道スマートメーター導入基本戦略」によると、携帯電話の通信網を使って南港咲洲地区や大阪駅周辺などに先行導入した約250個の水道スマートメーターは、通信の成功率が約98%です。約2%の通信不良の原因が特定できていないため、電力の通信網の利用を検討しています。
基本戦略は、2030年代中に大阪市内の全域へ導入することをめざし、次の予定を示しています。
| 時期(想定) |
大阪市の取り組み |
| 2027年度末まで |
使うメーターの型式を決める |
| 2028年度末まで |
計測データを確実に取る方法と、データを管理する仕組み(MDMS)の使い方を決める |
| 2029年度末まで |
機器やサービスの調達の区分を決める |
| 2032年度 |
市内全域への設置を始める |
| 2039年度 |
市内全域への設置を終える |
大阪市の参考資料は、これまでの通信の実証で知見を積んだ一方、実際の導入に向けた業務の運用の整理が課題だとしています。大阪市が示した連携のイメージでは、京都市の「共同検針の実装に向けた取組み」や「大規模導入・運用に関する課題・知見」も、3者で共有する対象になっています。
暮らしと仕事への影響
今回の協定は、3者で検討と実証を進めるための枠組みです。大阪市の想定では、市内全域への設置が始まるのは2032年度で、すぐに家庭の水道メーターが替わるわけではありません。発表と協定書には、水道料金についての記載はありません。
導入が進んだあとの姿として、大阪市は2021年に定めたビジョンで、使用量の見える化や、家の中の漏水の早期発見、安否確認などを挙げています。関西送配電も、見守りサービスなどの新しい価値を挙げています。
たとえば店や事業所なら、閉店後に水が流れたままになっているのに早く気づく、といった使い方が考えられます。大阪市のDXの取り組み全体は、大阪府と大阪市の生成AIはどこまで進んだ? 暮らしと店に関わる取り組みでも整理しています。
水道のメーターも、少しずつ賢うなっていくんやね。