XNOVAなど3社は2026年9月30日、京都市西京区の森林で、四足歩行ロボットによる森林巡視の実証を行いました。担い手不足が進む森林管理の省力化を目指し、森林内を移動する性能や、今後の自律巡視に向けた課題を確かめました。2026年10月2日の発表によると、GPSを使った位置案内も一部でテストしています。
京都市西京区の森林で実証に使われた四足歩行ロボット出典: XNOVA(PR TIMES)(報道用の素材)
森林を歩けるか、位置を把握できるかを検証
使用したのは、Unitree製の四足歩行ロボットです。実証では、地面が整っていない森林内で、ロボットが移動できるかを確認しました。走行区間は、現地の路面や植生、傾斜に応じて設定しています。
落ち葉と下草の残る森林の道を進む、Unitree製の四足歩行ロボット出典: XNOVA(PR TIMES)(報道用の素材)
もう一つの検証対象が、GPSを使うナビゲーションです。GPSは衛星を使って位置を把握する仕組みで、ナビゲーションは目的地や進む方向を案内することです。今回は一部のテストを実施し、取得したGPSデータを使って、森林内での位置案内に向けた基礎検証を行いました。
大切なのは、今回の取り組みが実証段階だという点です。確認したのは、不整地での走破性や、今後の自律巡視に向けた技術面・運用面の課題です。森林を自動で巡回する仕組みが完成したという発表ではありません。GPSの検証も、一部のテストとして位置づけられています。
大阪・関西では、京都の企業と市が連携
実証には、XNOVA、Unitree Robotics、Eco Forest Friendlyが参加しました。京都市が共催し、公益財団法人京都市森林文化協会と一般社団法人京都知恵産業創造の森が協力しています。
XNOVAは京都市に本社を置く企業で、京都大学出身者が2021年に創業しました。今回の実証では、ロボット制御、GPSナビゲーション、運用方法の検証を担当しています。
Unitreeは四足歩行ロボットの提供と技術協力を担いました。Eco Forest Friendlyは京都府南丹市に本社を置き、デジタル技術による森林・林業の業務変革を手がける企業です。森林管理の知見提供や地域との連携、事業化の検討を担当しました。
京都市西京区の森林を舞台に、ロボットの技術と森林管理の知見を持ち寄った実証です。企業ごとの役割に加え、市や協力団体の関わりも示されています。
次の課題は、巡回ルートと現地での運用
3社は今後、森林内でロボットが自分の位置を推定する方法と、巡回ルートを作る方法の改善を進める方針です。今回取得したGPSデータによる検証は、森林内のナビゲーションに向けた基礎となる取り組みです。
運用方法についても、通信、電源、防水性を含めて改善する方針が示されました。移動性能だけでなく、森林で使う際の条件も検証対象になっています。
発表で示されたのは、こうした改善の方向です。日常的な森林巡視をロボットに任せられるかを考えるうえでは、技術面と運用面の両方の課題が残る段階として読む必要があります。
暮らしと仕事への影響
森林管理に関わる人にとっての焦点は、巡視の省力化につながるかどうかです。3社は、担い手不足が進む森林管理への活用に加え、シカやイノシシなどによる獣害対策も見据えています。
将来の用途として検討しているのは、シカやイノシシなどの出没状況の早期把握、林道や治山施設の点検、森林資源の計測です。いずれも、今回すでに実用化した機能ではなく、今後の活用候補です。
地域の暮らしとの接点は、こうした獣害対策や森林の管理にあります。ただし、今回の発表だけで、被害が減ったり、管理の人手が減ったりしたと受け取ることはできません。現時点では、森林を歩くロボットの性能を確かめ、自律巡視に向けた課題を整理した実証です。