京都産業大学は2026年10月23日、金星大気の長期的な風速変動を再現した共同研究成果を発表しました。探査機「あかつき」の観測と数値モデルを組み合わせ、観測のない高度を含む大気の3次元構造を推定したとしています。
雲の画像と計算を組み合わせ、立体的な流れへ
研究対象は、金星の大気が金星自身の自転よりも速く周回する「スーパーローテーション」です。研究チームは、金星大気データ同化システム「ALEDAS-V」を使いました。
データ同化とは、観測で得た情報を数値モデルに取り込む手法です。今回は「あかつき」の紫外線カメラ(UVI)の画像から、雲の上端付近を水平方向に吹く風を算出。その風を使い、モデル内の雲頂付近の風速分布を補正しました。
解析したのは、2017~2022年のうち風速が異なる5つの期間です。研究チームによると、風速の南北差を含め、観測された特徴を再現できました。さらに、南北方向や上下方向の流れである「子午面循環」の推定結果にも、時期による違いが表れたとしています。
大阪・関西では、複数の大学と研究機関が参加
京都産業大学からは、理学部の高木征弘教授と安藤紘基准教授が参加しました。神戸大学、京都大学防災研究所、理化学研究所計算科学研究センターも研究に加わっています。
共同研究には、慶應義塾大学、JAXA、東京大学、北海道大学も参加しています。成果の学術誌『npj Space Exploration』へのオンライン掲載は、2026年10月23日18時(日本時間)付です。
暮らしと仕事への影響
今回の成果は、金星の大気を調べる研究です。通勤や買い物で使える新サービスの発表ではありません。一方、学びや仕事でデータを見る際には、「直接観測した範囲」と「計算で推定した範囲」を分ける読み方が参考になります。
この研究でも、観測から求めたのは雲頂付近の水平風です。観測のない高度の流れは、モデルを通じた推定になります。また、解析対象は5つの期間であり、2017~2022年の全期間を連続して観測したという意味ではありません。何を測り、どこを計算で補ったのかに注目すると、成果の意味を捉えやすくなります。