電車、電気、ガスは、関西で暮らす人が毎日使うインフラです。その会社を、有価証券報告書(有報)の数字で並べました。関西に本店がある鉄道4社・電力1社・ガス1社の売上高、従業員数、平均年間給与と、DXの書かれ方を図解にまとめます。
鉄道・電力・ガス6社の一覧
対象は、JR西日本(西日本旅客鉄道)、近鉄グループホールディングス、阪急阪神ホールディングス、京阪ホールディングス、関西電力、大阪瓦斯の6社です。6社とも、2026年3月期の有報です。本店の所在地は、EDINETコードリストの所在地によります。
編集部が選んだ6社で、関西の鉄道・電力・ガスの会社をすべて集めたものではありません。数字は、金融庁のEDINETにある各社の有報から取り出しました(2026年10月9日確認)。売上高が1兆円以上の会社は5社で、京阪ホールディングスだけが3,325億円です。連結の従業員数が3万人以上の会社は、JR西日本、近鉄グループホールディングス、関西電力の3社です。
関西の鉄道・電力・ガス6社の売上高(連結)と従業員数、連結と提出会社の人数の違い作成: 編集部 / もとの資料: 各社の有価証券報告書(EDINET・金融庁)
売上高と連結の従業員数は、グループ全体の数字です。平均年間給与・平均年齢・平均勤続年数は、提出会社(有報を出した会社そのもの)の数字です。売上高は億円未満、平均年間給与は万円未満を四捨五入しました。
| 会社 |
本店 |
売上高(億円) |
従業員数(連結・人) |
提出会社の従業員数(人) |
平均年間給与(万円) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
有報 |
| 西日本旅客鉄道 |
大阪市 |
18,458 |
47,225 |
22,524 |
728 |
37.4 |
13.7 |
有報 |
| 近鉄グループホールディングス |
大阪市 |
17,503 |
44,759 |
264 |
823 |
44.6 |
17.7 |
有報 |
| 阪急阪神ホールディングス |
池田市 |
12,035 |
23,867 |
241 |
920 |
42.4 |
17.5 |
有報 |
| 京阪ホールディングス |
枚方市 |
3,325 |
6,233 |
143 |
813 |
43.8 |
19.3 |
有報 |
| 関西電力 |
大阪市 |
40,566 |
32,482 |
8,336 |
939 |
42.4 |
19.4 |
有報 |
| 大阪瓦斯 |
大阪市 |
20,303 |
21,835 |
1,303 |
846 |
44.3 |
16.1 |
有報 |
売上高は、近鉄・阪急阪神・京阪・JR西日本の有報では「営業収益」、関西電力・大阪瓦斯では「売上高」です。会社の名前は、有報の表記にそろえて「大阪瓦斯」としました。
数字の読み方 4つの注意
表の数字は、会社どうしをそのまま比べられるものではありません。次の4つを押さえて読みます。
6社の平均年間給与・平均年齢・勤続年数の早見表と、数字の読み方の4つの注意作成: 編集部 / もとの資料: 各社の有価証券報告書(EDINET・金融庁)
1. 平均年間給与は「提出会社」だけの平均
平均年間給与、平均年齢、平均勤続年数は、有報の「提出会社の状況」という欄の数字です。子会社などグループ会社の従業員は入りません。6社の有報はいずれも、平均年間給与に賞与と基準外賃金を含むと書いています。
2. ホールディングスの平均は、少人数の本社の平均
近鉄グループホールディングスは264人、阪急阪神ホールディングスは241人、京阪ホールディングスは143人が、平均の対象です。連結の従業員数は44,759人、23,867人、6,233人なので、グループで働く人の大半は入っていません。阪急阪神ホールディングスの有報には、純粋持株会社と書かれています。
3社の有報には、グループで従業員が最も多い会社の欄があります。近畿日本鉄道は6,674人で641万円・45.8歳・23.2年、阪急電鉄は3,118人で794万円・42.8歳・20.4年、京阪電気鉄道は1,227人で700万円・47.9歳・26.8年でした。JR西日本、関西電力、大阪瓦斯の従業員の状況の欄には、同じ欄は載っていませんでした。
3. 平均の範囲が会社によって違う
JR西日本の有報には、平均年齢・平均勤続年数・平均年間給与は、受入出向者329人を除いた数値と書かれています。大阪瓦斯の有報には、平均年間給与額は監督若しくは管理的地位にある労働者を算定対象に含んでいないと書かれています。同じ「平均年間給与」でも、数える人の範囲がそろっていません。
4. 平均年齢・平均勤続年数とあわせて見る
6社の平均年齢は37.4歳(JR西日本)から44.6歳(近鉄グループホールディングス)、平均勤続年数は13.7年(JR西日本)から19.4年(関西電力)まで開きがあります。年齢が高いほど給与が高く出やすい会社もあるため、3つの数字をあわせて見ます。
有報にDXはどう書かれているか
6社の有報(2026年3月期)には、いずれもDXの記述があります。書かれ方は会社ごとに違います。有報の文章を、編集部が短くまとめました。
6社の有価証券報告書で、IT・DXがどの項目にどう書かれているかの整理作成: 編集部 / もとの資料: 各社の有価証券報告書(EDINET・金融庁)
- JR西日本: 経営者による分析に、鉄道DXによる業務プロセスの変革等に取り組んだとあります。事業等のリスクには、生成AIの活用による生産性向上に取り組むとあります。
- 近鉄グループホールディングス: 事業等のリスクに、デジタル戦略部が中心となってDX施策の推進、DX人財の確保と育成に努めるとあります。人的資本の指標には、IT・DX研修の受講時間(2025年度実績4.8時間、目標5時間)と、情報系人財(DX人財)の採用者数(5人、目標5人以上)があります。
- 阪急阪神ホールディングス: 事業等のリスクに、DXの活用等を通じた生産性の向上をグループ全体で進めるとあります。社外取締役の選任理由にも、DXを推進するグループ経営への監視・監督の強化が挙げられています。
- 京阪ホールディングス: サステナビリティ委員会の下に「グループDX推進・情報セキュリティ専門委員会」を置いています。
- 関西電力: 役員をトップとする「DX戦略委員会」、デジタル専業子会社の「K4 Digital株式会社」、各部門の三位一体でDXを推進するとあります。
- 大阪瓦斯: 経営方針に、デジタル技術を活用した新サービスの創造と、社内の業務改革・システム刷新による生産性の向上を挙げています。DX推進委員会も設置しています。
有報にどれだけ書かれているかは、取り組みの大きさを表すものではありません。有報に書かれていないことは、取り組みがないという意味でもありません。
就活や転職で、自分で確かめる手順
気になる会社は、EDINETで原本を開いて確かめられます。EDINETの「書類簡易検索」に会社名を入れ、一覧の「有価証券報告書」を開きます。目次の「従業員の状況」に、連結の従業員数と、提出会社の平均年齢・平均年間給与が載っています。DXの記述は、「事業等のリスク」や「サステナビリティに関する考え方及び取組」の欄で探せます。
同じ手順は、関西に本店がある電機・ITの23社を図解 有価証券報告書で見る平均年収・社員数・売上でも説明しています。
大阪・関西で暮らす人が見るところ
6社のうち、本店が大阪市にあるのは、JR西日本、近鉄グループホールディングス、関西電力、大阪瓦斯の4社です。阪急阪神ホールディングスは池田市、京阪ホールディングスは枚方市です。
数字を見るときは、次の点を確かめます。
- 本店の場所と勤務地は、同じとは限りません。勤務地や職種は、各社の募集要項で確かめます。
- 従業員数は、連結と提出会社の両方を見ます。ホールディングスの平均は、グループ全体の平均ではありません。
- 平均年間給与は、算定の範囲の注記と、平均年齢・平均勤続年数とあわせて見ます。
- 1年分だけでなく、「主要な経営指標等の推移」で数年分の動きを見ます。
この記事は、会社の良し悪しや投資の判断を示すものではありません。毎日使うインフラの会社も、有報を開くと中身がちゃうのが見えてくるさかい、気になる会社は自分の目で確かめてみてな。