Googleの「AIによる概要」で流入と収入が減ったとして米国の会社がGoogleを訴えた2件で、米国の連邦地方裁判所は2026年9月30日、訴えを退けました。判断の文書(41ページ)が示した理由と、日本でサイトを持つ人に関わる点を整理します。
だれが、何を訴えたのか
訴えたのは、学生向けの学習サービスを運営するCheggと、Rolling StoneやBillboard、Varietyなどを持つメディア会社のPenske Mediaとそのグループの各社です。裁判所は米国コロンビア特別区連邦地方裁判所で、Amit P. Mehta判事が2件をまとめて判断しました。
判断の文書の1ページ目。CheggとPenske Mediaの2件をまとめて扱う出典: 米国コロンビア特別区連邦地方裁判所「Memorandum Opinion」(CourtListenerの写し)(引用)
原告の主張はこうです。サイトは検索からの流入を期待して、Googleに中身を読み取らせている。Googleはその中身を抜き出しの表示やAIの学習、AIによる概要に無償で使い、人がサイトに来なくなった。読み取りを断れば検索結果から消える。そのうえで、米国の独占禁止法(シャーマン法)違反とカリフォルニア州法の不当利得を訴えました。
裁判所が退けた主な理由
裁判所は、訴えを退けるよう求めたGoogle側の申し立てを認めました。主な理由は次のとおりです。
| 争点 |
裁判所の判断 |
| 中身と流入の取引(互恵取引) |
Googleとサイトの間に合意があったと言える事実がない |
| AIによる概要の抱き合わせ(Penske Media側のみ) |
検索とAIによる概要は、別々の商品とは言えない |
| 検索の独占の維持 |
損失は検索の市場で受けたものではなく、原告適格がない |
| 独占の企て・独占力の利用 |
原告の示した市場の範囲が成り立たない |
| 不当利得(州法) |
連邦法の請求を退けたので判断しない |
中心になった互恵取引の争点について、文書は次のように述べています。
But an expectation is not an agreement. It is simply how a general search engine works.
出典: Memorandum Opinion, Chegg, Inc. v. Google LLC / Penske Media Corp. v. Google LLC(2026年9月30日)
(当社訳)しかし、期待は合意ではありません。それは単に、一般の検索エンジンの仕組みです。
判断の文書の20ページ。期待は合意ではないと述べた部分を含む出典: 米国コロンビア特別区連邦地方裁判所「Memorandum Opinion」(CourtListenerの写し)(引用)
文書は、ニュースのサイトが似た主張をした別の事件でも、同じ裁判所が2026年3月20日に主張を退けていたと引いています。そのうえで、原告の受けた損害を軽く見てはいないとし、独占禁止法の届く範囲に足りない点があるなら、議会や規制当局が考えることだと述べました。
暮らしと仕事への影響
今回は、訴えを退けるかどうかを決める段階の判断です。裁判所は原告の主張する事実を正しいものとして扱ったうえで、法律上の請求として成り立たないとしました。AIによる概要で流入が減ったかどうかを判断したものではありません。訴えは独占禁止法と不当利得で、著作権は争点になっていません。命令の文書は、上訴できる最終の命令だとしています。
米国の法律についての判断で、日本の法律の判断ではありません。AIと著作権の基本は、AIで作った絵や文章、著作権は大丈夫? 作り手と店の販促の確かめ方にまとめています。
日本でサイトを持つ人が使える設定もあります。Googleは、Search Consoleの切り替えで、AIによる概要やAIモードなどの生成AIの検索機能にサイトを出すかを選べるようにし、2026年8月31日に世界中のすべてのサイトに提供しました。外すと、これらの機能からの流入や表示はなくなります。Googleは、この設定をそれ以外の検索結果の順位には使わないとしています。
関西の暮らしと仕事での使いどころ
たとえば、京都の宿や大阪の店のサイトを持つ人は、Search Consoleの生成AIのパフォーマンスのレポートで、AI機能に表示された回数やページ、国ごとの数字を確かめられます。海外からの観光客向けのページがどれだけ出ているかの手がかりになります。
切り替える前に、まずレポートで自分のサイトの数字を見とき。