株式会社SHIFT AI(東京都渋谷区)は2026年10月1日、65歳以上の親を持つ全国の30〜50代を対象にした「シニア×AIの意識調査」の結果を発表しました。親に生成AIを使ってほしくないと答えた人は69.3%でした。調査の方法と数字を発表資料で確かめ、家族でどう話すか、詐欺などで気をつけることを整理します。
調査の方法と、いちばん大きな数字
調査をしたのは、生成AIの学習コミュニティを運営する株式会社SHIFT AIです。調査の方法は、発表資料に次のように書かれています。
| 項目 |
内容 |
| 調査期間 |
2026年9月7日〜9月14日 |
| 調査対象 |
65歳以上の親を持つ全国の30〜50代の男女 |
| 人数 |
723名 |
| 方法 |
インターネットリサーチ(実施機関は株式会社SHIFT AI) |
親に生成AIを使ってほしいかという問いには、「ぜひ使ってほしい」が6.2%、「どちらかといえば使ってほしい」が24.5%で、肯定的な回答は計30.7%でした。「あまり使ってほしくない」の37.8%と「使ってほしくない」の31.5%を合わせた否定的な回答は、69.3%でした。
親に生成AIを使ってほしいかへの子世代723名の答えの内訳出典: 株式会社SHIFT AI(報道用の素材)
親がいま生成AIを使っているかについては、子世代が知っている範囲で「使っている」と答えた割合が22.8%、「使っていないと思う」が67.2%でした。一方、子世代自身が生成AIを月に数回以上使っている割合は51.5%で、「使ったことはない」は34.3%でした。親の利用は、子の認識にもとづく数字です。
「使ってほしくない」理由は、誤った情報と支えきれない不安
使ってほしくないと答えた501名に理由を聞いた結果(複数回答)は、次のとおりです。
- 誤った情報を信じてしまいそうだから 43.9%
- そもそも親の生活にAIは必要ないと思うから 34.9%
- 何かあったとき、自分がサポートしきれないから 28.7%
- 個人情報を入力してしまいそうだから 27.5%
- 詐欺・悪質な情報にかえって巻き込まれそうだから 23.0%
親に生成AIを使ってほしくない理由(使ってほしくない501名・複数回答)出典: 株式会社SHIFT AI(報道用の素材)
自由記述には「使うも使わないも本人の自由」「自分で考えることが大事。いざとなれば自分がサポートする」といった声もありました。反対の理由の多くは、AIそのものより、答えの正しさと、困ったときに支えられるかどうかに向いています。
自分で使う子ほど「親にも使ってほしい」
子世代自身の利用の頻度で分けると、答えは逆の向きになります。「親に使ってほしい」と答えた割合は、ほぼ毎日使う層で56.5%、週に数回使う層で53.1%、月に数回使う層で36.3%でした。ほとんど使っていない層では19.4%、使ったことがない層では7.3%です。月に数回以上使う372名では49.5%、ほとんど使っていない・使ったことがない351名では10.8%でした。
子世代の生成AIの利用頻度別に見た「親に使ってほしい」の割合出典: 株式会社SHIFT AI(報道用の素材)
親に使い方を教えることについては、「教えるつもりはない・必要ないと思う」が50.2%でした。教えるときの障壁で最も多かったのは「自分も詳しくなく、教えられるほど使いこなせていない」の34.3%で、使ったことがない層では48.4%にのぼりました。子が使い慣れていないと、勧めるにも止めるにも、理由をうまく説明しにくいと読み取れます。
同じ調査で分かった、AIが関わる詐欺への遭遇
SHIFT AIは、同じ調査の別の結果を9月29日に発表しています。親がAIの関わる詐欺・トラブルのいずれかに遭遇したと答えた家庭は19.9%(144名)、実際に被害があった家庭は5.8%(42名)でした。種類別では、次の順でした。
| 種類 |
遭遇した割合 |
| 家族や知人の声をまねた不審な電話(ディープフェイク音声のなりすまし) |
12.0%(実被害3.2%) |
| AI製の巧妙なフィッシング・詐欺メール |
11.3% |
| AI生成とみられる偽ニュース・偽広告 |
10.0% |
遭遇した家庭では、「親に生成AIを使ってほしい」が51.4%で、遭遇していない・わからない家庭の25.6%の約2倍でした。「使ってほしい」と答えた222名が期待する使い道は、「日常の調べもの・役所などの手続きの補助」が56.8%で最も多く、「不審な連絡を受けた際の相談・確認方法の案内」37.4%、「AIによる見守り・安否確認」36.0%が続きました。遭遇や被害も、子世代が把握している範囲での回答です。
今日からできること 家族で決めておく4つ
- 使うかどうかは親が決める。 SHIFT AIも、親の意思を尊重しつつ、関心を持ったときに親子で学び、相談できることが大切だとしています。勧めるのも止めるのも、押しつけにならないようにします。
- AIの答えは、公式の情報で確かめる。 個人情報保護委員会は、生成AIの答えに不正確な内容が含まれることがあると注意を呼びかけています。病院やお金、役所の手続きの話は、最後は公式のホームページや窓口で確かめる、と決めておきます。
- 入れない情報を決める。 同じ委員会は、入力した個人情報がAIの学習に使われ、正確または不正確な内容で出力されるおそれがあるとしています。氏名と住所、電話番号、カードや口座の番号は入れない、と紙に書いて手元に置くのも一つの方法です(AIに「カードの写真」を送らない記事)。
- 急ぐ電話やメールは、いったん切って確かめる。 家族の声に似た電話でお金の話が出たら、いったん切り、登録してある家族の番号にかけ直します。家族だけが分かる合言葉を決めておく方法もあります(AIで作った顔や声の詐欺に備える記事)。
子の側が使い慣れていないなら、親に教える前に、自分で設定や注意点を確かめておくと話しやすくなります。
大阪・関西では 国際電話の詐欺と相談の窓口
大阪府警察は、特殊詐欺に使われた電話番号のうち約7割が、+1や+44などから始まる国際電話番号だったと案内しています(令和7年6月末現在)。被害の多くは60〜80歳代で、携帯電話では20〜30歳代の被害も増えているとしています。AIで声をまねた電話も、入口が電話であることは変わりません。
大阪府警察が勧めている対策は、次のとおりです。
- 固定電話は、国際電話の発信・着信を休止できる(国際電話不取扱受付センターのWebか、電話0120-210-364で申し込む)
- 携帯電話は、知らない番号や国際電話番号からの着信に出ない。着信設定を見直し、警察庁推奨の防犯アプリを使う
- 留守番電話を使い、録音で相手が分かってからかけ直す
困ったときの相談先は、消費者ホットライン188(いやや!)です。大阪府消費生活センターの相談専用の番号は06-6616-0888で、受付は平日の午前9時から午後5時です。関西の府県や市の窓口は、高齢の親のスマホの困りごとと関西の相談先の記事にまとめています。
たとえば、市役所の手続きの流れを親がAIに聞くなら、最後は市のホームページか窓口で確かめる、と親子で決めておく。調査で期待の大きかった「手続きの補助」も、こうした小さな決めごとがあれば、安心して任せやすくなります。