Preferred Networks(PFN、東京都千代田区)は2026年10月7日、日本語に特化したAI翻訳サービス「PLaMo翻訳」の大型アップデート版を提供開始しました。対応言語は日英の2言語から53言語になり、オンライン会議の翻訳も正式に加わりました。
何が良くなったのか
PFNの発表によると、PLaMo翻訳は、PFNが作る国産の大規模言語モデル(文章を理解して作るAI)PLaMoの第3世代をもとにしています。前の世代の数百倍の計算量で、翻訳に特化した学習をしたとしています。
公式は、Claude Fable 5.1、GPT-6.1 Sol、GPT-6 Astraなど海外のフロンティアモデルと同等で、DeepLやGoogle Translateなど海外の機械翻訳サービス以上の日本語翻訳精度(自社ベンチマーク含む)になったと書いています。
コストについては、原文10万文字あたり約14円で、海外のフロンティアモデルや機械翻訳サービスの10分の1未満としています。PLaMo翻訳はAPIを公開していないため、同世代モデルによるPLaMo APIの料金をもとに算出した数字です。
公式のベンチマークの表
PFNのブログには、前の世代との比較があります。数字が大きいほど良い結果です。8Bは、モデルの大きさを表す呼び方です。
| モデル |
PFTB 英→日 |
PFTB 日→英 |
SaaS 英→日 |
WMT24++ 英→日 COMET-22 |
FLORES+ 日→多言語 chrF++ |
FLORES+ 多言語→日 chrF++ |
| plamo-2-translate (8B) |
0.447 |
0.602 |
0.430 |
0.882 |
39.28 |
29.90 |
| plamo-3-translate 8B |
0.547 |
0.672 |
0.571 |
0.879 |
43.40 |
31.04 |
| TranslateGemma 27B |
0.438 |
0.634 |
0.395 |
0.882 |
42.17 |
28.18 |
PFTBとSaaSはPFNが社内で作ったベンチマークです。WMT24++は性能が飽和していて、どのモデルもほとんど差がないとブログは書いています。
もうひとつ、最大サイズのplamo-3-translate 31Bを、Gemini 3.1 Proが2つの訳文を比べて判定した勝率の表があります。
| 対戦相手 |
PFTB 英→日 |
PFTB 日→英 |
SaaS 英→日 |
WMT24++ 英→日 |
| DeepL翻訳 |
87.00% |
58.00% |
73.82% |
59.17% |
| Google翻訳 |
86.00% |
71.00% |
91.47% |
70.62% |
数字はどれもPFNが自分で測ったものです。第三者の評価ではない点は、見るときに知っておきたいところです。
使い方と料金、対応する言語
使えるのは、ブラウザの画面、Chrome・Edge・Firefoxの拡張機能、Mac・Windowsのデスクトップアプリです。機能は、テキスト翻訳、ファイル翻訳、ブラウザ翻訳、英文添削、ライブ音声翻訳、会議翻訳です。
PLaMo翻訳の料金ページ。リリース記念キャンペーンの3つの特典出典: 株式会社Preferred Networks「料金 | PLaMo翻訳」(引用)
個人向けのプランは次のとおりです。料金のページは、月払いと年払いを切り替えて表示します。ここでは、ページの注記にある月額の税込の金額を書きます。
| プラン |
料金 |
主な内容 |
| Free |
0円(クレジットカード不要) |
ブラウザ翻訳は月20万文字まで(上限引き上げ中)、テキスト翻訳は月5万文字まで、ファイル翻訳は月1件 |
| Lite |
キャンペーン価格は月額1,078円(税込)。通常価格は月額1,298円(税込)。ページの大きな数字は税抜の980円と1,180円 |
ブラウザ翻訳は無制限、テキスト翻訳は月100万文字まで |
| Pro |
キャンペーン価格は月額2,838円(税込。税抜は2,580円)。通常価格は月額2,980円と表示(Liteと同じく税抜の表示と読めます) |
テキスト翻訳は月500万文字まで |
2026年10月7日から11月30日までは、リリース記念のキャンペーンです。Liteは最初の2か月が無料で、3か月目から月額1,298円(税込)の課金が自動で始まります。適用にはクレジットカード情報の登録が必要です。
対応言語は53言語です。これまでは日本語と英語の間だけでした。会議翻訳は15言語に対応します。言語の一覧は、PLaMo翻訳のサイトにあります。
会議翻訳は、Zoom、Google Meet、Microsoft TeamsのURLを指定すると、翻訳ボットが会議に入ります。話した内容を文字にして、訳文をブラウザの専用の画面に表示します。固有名詞や専門用語を用語集に登録できます。
日本の会社が一から作ったモデル
PFNは、既存の海外のモデルを日本語向けに調整したのではなく、学習データの集め方から、モデルの設計、学習の環境まで、国内でフルスクラッチ(ゼロから)で作ったと書いています。学習データに占める日本語の割合は30%ほどで、フロンティアモデルを大きく上回るとしています。
今後は、第3世代の翻訳モデルを複数の大きさで、オープンウェイトモデル(誰でも手元で動かせるよう重みを公開するモデル)として、PLaMoコミュニティライセンスのもとに公開する予定と発表しています。時期は書かれていません。
PFNは、国産AIの開発を進めるNoetraにも技術者が参画する会社です。そちらは国産AIのノエトラとは 44社が出資、国の予算は2026年度3,873億円にまとめています。
データはどう扱われるのか
公式のページに書かれている範囲は次のとおりです。
- サービスの提供に必要なデータの処理は、国内で完結する(発表)
- Lite以上のプランは「データ二次利用なし」。テキスト翻訳とブラウザ翻訳はデータを即時に破棄し、ファイル翻訳は削除の操作でデータが完全に消える(料金のページ)
- Freeプランは「データ二次利用あり」。無料で使うと、送信した内容が翻訳品質向上のための学習データとして使われる場合がある(料金のページ・テキスト翻訳のページ)
仕事の書類や、人に知られたくない文章を訳すときは、プランの違いを先に確認しておくのが安全です。
暮らしと仕事への影響
海外の商談や取引で使う英語のメールは、機械翻訳のままだと硬くなりがちです。PFNは、ビジネスメールの文脈に合った日本語になるのが強みだとしています。ブログには、メールの訳し分けの例が載っています。
一方で、料金は、無料のFreeで試してから、使う量に合わせてLiteやProを選ぶ形です。Freeには月ごとの文字数の上限と、学習データに使われる場合があるという条件があります。
なお、PLaMo翻訳はAPIを公開していません。自社のシステムに組み込みたい場合の扱いは、FAQにある「APIから利用できるか」の項目で確かめてください。この記事では確かめていません。
日本での提供は、日本語のサービスとして10月7日から始まっています。
関西の暮らしと仕事での使いどころ
関西の会社や自治体がPLaMo翻訳を導入したという発表は、確かめた範囲ではありません。ここからは、使い方の例です。
- 観光客の多い店で、海外のお客さんからの問い合わせメールを日本語にして読み、返事を英語にする(たとえば、予約の変更やアレルギーの確認)
- 町工場や商社で、海外の取引先との見積書の英文を、ファイル翻訳で書式を保ったまま日本語にする
- 海外の拠点や取引先との定例会議を、会議翻訳で文字にして残す
- 留学や海外旅行の前に、学校や宿の案内のWebページを、ブラウザ翻訳でまるごと日本語で読む
どの場合も、金額や日付などの大事な数字は、人の目で原文と見比べておくと安心です。
今日からできること
- 料金のページで、Freeプランの上限と「データ二次利用あり」の条件を読む
- 機密のある書類は、Lite以上か、翻訳に出してよい内容かを社内で決めてから使う
- キャンペーンは2026年11月30日までです。Liteを試すなら、3か月目から月額1,298円(税込)が自動で始まる点を覚えておく
ほな、まずは無料のFreeで、短いメールを訳してみるとええで。