OpenAIは2026年10月6日(米国時間)、契約管理ソフトのIronclad(アイアンクラッド)と組んだ研究を発表しました。PCのソフトを人のように操作するAIを、契約の実務の作業で鍛えて評価したものです。
何が発表されたのか
OpenAIは、AIがPCを操作して仕事をする力を、もっと伸ばしたいと説明しています。会社のルールを理解し、何段階もある手順を進め、最後に最初の要件を満たしているか確かめる力です。
そのために、仕事の中身をよく知るソフト会社と直接組みます。最初の相手がIroncladです。契約書の設定、承認の流れ、繰り返し使う法務の文言を、AIがソフト上で設定する作業を研究の課題にしました。
OpenAIの発表の見出し画像(「Advancing computer use with Ironclad」の題字)出典: OpenAI「Advancing computer use with Ironclad」(引用)
作業は11個、1個あたり人で30〜40分
Ironcladの社員と、OpenAIでIroncladを使っている人が、法務・営業・購買の11の作業を選びました。秘密保持契約(NDA)の設定、購買の承認の流れづくり、依頼者が選んだ国や地域に合わせた文言の更新などです。経験のある人なら1作業あたり平均30〜40分かかると見積もっています。
作業ごとに8〜50の採点の基準を決め、どこまでできたかを細かく見ました。Ironcladは、練習用に自社製品の環境も提供しました。OpenAIは、代表的な作業をもとにした練習用の課題も作り、強化学習(試して点数をもらって上達する方法)で鍛えました。
結果は、達成度が上がり、時間は短く
比べたのは、GPT-6 AstraとGPT-5.6 Solです。それぞれ点数がいちばん高かった設定(Astraは最大の推論、Solは高い推論)を使いました。
| 項目 |
GPT-6 Astra |
GPT-5.6 Sol |
| 11作業の平均の達成度 |
55.0% |
41.6% |
| 1回あたりの時間の目安 |
19.2分 |
37.0分 |
OpenAIは、平均の点数がSolより32%高く、1回の時間の見積もりは48%短いと書いています。Astraの開発に使った社内のモデルは、63.7%でした。同じ作業の動画では、Astraは基準の約94%を約20分、Solは約85%を約32分で満たしたとしています。
使える人と日本での提供
この発表は、新しい機能や製品の提供開始ではありません。プラン別の提供や料金も書かれていません。
使われたGPT-6 Astraについては、別の発表ページに案内があります。ChatGPTのPlus・Pro・Business・Enterpriseの利用者に数日かけて広げ、OpenAIのAPI、Microsoft Azure、AWS Bedrockからも使えるようにするという内容です。Ironcladの作業で鍛えたAstraの扱いが、一般のAstraと別かどうかは、発表に書かれていません。日本での提供は、どちらの発表にも書かれていません(2026年10月7日時点)。Astraの料金や他のモデルとの違いは、GPT-6.1 SolとGemini 4 Argon、いつから誰が使えるのかで整理しています。
安全のための仕組みは、公式の記載の範囲で
この発表が述べている安全のことは、次の点です。
- AIが契約の作業を進めても、人の確認は引き続き大切だと述べています。
- 契約の管理には、全体を見渡せる仕組み(契約のプラットフォーム)が欠かせないと述べています。
- Ironcladは今後、契約の担当が頼っている管理の仕組みを保ったまま、AIに複雑な作業を任せられる可能性があるとしています。
OpenAIがAstra全体の安全のために行っていることは、Astraの発表ページにあります。この記事では立ち入りません。
協力する会社を募集
OpenAIは、現在のAIがまだ確実にはこなせない大事な作業を持つソフト会社を、少数招いています。求めているのは、AIに何をさせたいか、どこで失敗するかの証拠、成功の判断の方法の具体的な例です。専門の人、安全に試せる環境、研究に使ってよいデータも条件に挙げています。
暮らしと仕事への影響
直接の変化は、まだ研究の段階です。ふだんの暮らしで、すぐ使えるようになる話ではありません。
仕事では、複数の条件を守りながら設定を進める作業を、AIがどこまで任されるかの目安になります。最良のAstraでも、研究の作業で平均55.0%の達成度です。発表も人の確認は大切だと述べているので、AIにソフトの設定を頼むときは、できあがりを人が確かめる前提で考えるのが現実的です。
関西の暮らしと仕事での使いどころ
関西の会社や自治体がこの技術を導入したという発表は、ありません。そのため、ここからは使い方の例です。
たとえば、取引先ごとに承認の流れが違う会社なら、「一定の金額以上は部長の承認」といったルールをソフトに設定する作業を、AIに下書きさせる使い方が考えられます。設定した後に、金額が上のときと下のときで流れが正しいか、人が両方試す確認は欠かせません。
店や小さな会社では、秘密保持の書類の雛形を整える作業で、AIの下書きと人の確認を分ける考え方が参考になります。AIに任せるのは手間のかかる設定で、最後の確認は人が持っとくのが、ええ付き合い方やで。