Googleは2026年10月5日、立体の映像で話せるビデオ会議の仕組み「Google Beam」を、日本を含む6か国へ出荷し始めたと発表しました。機器は日本HPが10月から順に提供し、希望販売価格は1台6,598,900円(税込)からです。研究の始まりから、立体に見える仕組み、置くのに要るもの、大阪で実物を確かめられる場所までを、公式の情報で整理します。
Project Starlineから5年 研究が製品になるまで
Google Beamのもとは、Googleが2021年5月に公表した研究「Project Starline」です。当時の発表は、この技術を次のようにたとえています。
Imagine looking through a sort of magic window, and through that window, you see another person, life-size and in three dimensions.
出典: Google「Project Starline: Feel like you're there, together」(2021年5月18日)
(当社訳)魔法の窓のようなものをのぞくと、その向こうに、等身大で立体の相手が見える。そんな場面を思い浮かべてください。
当時は特別に作った機器を使い、Googleの一部のオフィスにだけ置かれていました。Googleは、もっと手ごろで使いやすくすることを目標に挙げていました。その後の流れは次のとおりです。
| 時期 |
出来事 |
| 2021年5月 |
GoogleがProject Starlineを公表 |
| 2025年5月 |
名前をGoogle Beamに改め、企業向けの製品にすると発表 |
| 2025年6月 |
HPが機器「HP Dimension with Google Beam」を米国の展示会で公開 |
| 2026年9月 |
日本を含む6か国への出荷が始まる |
6か国は、米国、カナダ、英国、フランス、ドイツ、日本です。出荷開始の速報はGoogle Beamが日本向け出荷、立体映像で企業の遠隔会議を支援にまとめています。
なぜ立体に見えるのか カメラ6台とAI、左右の目に別の映像
仕組みは、撮る、作る、映すの3段階です。まず、画面の枠に収めた6台のカメラが、話す人をいくつもの角度から撮ります。次に、GoogleのAIが、その映像を実物に近い立体の姿に作り変えます。
処理は機器の中とクラウドの両方で行うと、Googleは説明しています。最後に映すのが、65インチの「ライトフィールドディスプレイ」です。左右の目に向けて別々の映像を同時に出す画面で、専用のメガネやヘッドセットなしで奥行きを表せます。
画面は8Kで、3,320万ピクセルを毎秒60コマで映します。音も立体で、12基のマイクが声の方向を追い、4つのスピーカーが、画面の中の人から声が出ているように聞かせます。
HPが公開したHP Dimension with Google Beam。大きな画面の前に曲がった机を置く出典: HP Inc.「HP Dimension with Google Beam Takes Virtual Collaboration to the Next Level at InfoComm 2025」(報道用の素材)
置くのに要るもの 同じ機器が2台と、部屋と回線
HPの製品概要は、立体の映像になるのは1対1の会話だけで、同じ機器どうしをつないだときだと書いています。東京と大阪で使うなら、両方に1台ずつ要ります。相手がふつうのビデオ会議の機器やアプリのときは、Google MeetやZoomの平面の会議として使えます。
置く部屋の条件として、HPの製品概要は次の点を挙げています。
- 広さは2.7m四方から4.57m四方までの小さな部屋
- ドアのある静かな部屋で、空調があり、直射日光が入らない
- 機器の後ろの壁は白に近い色
- 15アンペアのコンセントが2口以上
- 回線は上りも下りも50Mbps以上
Googleの技術仕様では、回線の遅れは各機器まで100ミリ秒未満が条件です。消費電力は通話中600W、待機中70Wです。重さはGoogleのページで115.4kg、HPの製品概要で119.4kgと書かれていて、設置は販売パートナーが受け持ちます。
Google Beamの公式ページにある技術仕様の表。電源や回線の条件が並ぶ出典: Google「Google Beam テクノロジー」(引用)
値段は1台6,598,900円から ライセンスと工事は別
日本HPが2026年8月27日に発表した希望販売価格は、次のとおりです。
| モデル |
希望販売価格(税込) |
販売開始 |
| 壁掛けモデル |
6,598,900円 |
2026年10月 |
| フロアスタンドモデル |
7,546,000円 |
2026年10月 |
価格には、操作用のタッチコントローラーと、マイク2基が含まれます。Google Beamのライセンスと、設置・保守の費用は別です。部屋の整備や机などにかかる費用も入っていません。
買える窓口も限られます。ダイワボウ情報システムの発表によると、提供はGoogleが認めた販売パートナーを通じてだけです。Googleのヘルプは、一般提供に先立って認めた販売会社を国ごとに挙げています。日本はダイトロンとNECネッツエスアイ(NESIC)です(2026年10月5日確認)。
暮らしと仕事への影響
Google Beamは企業向けで、家庭のビデオ通話に使う製品ではありません。Googleが使い道として挙げるのは、役員どうしの話し合い、採用の面接、共同作業、離れたチームの連携、人材の育成の5つです。
採用の面接で使う場合も、立体になるのは両側に同じ機器があるときです。応募する人は、機器のある拠点へ出向くことになります。
向くのは、離れた拠点の間で、1対1の大事な話し合いが多い会社です。大人数の会議が中心の会社や、自宅から参加する人が多い会社では、立体の出番は限られます。
米国では2026年10月から、貸しオフィスの一部の拠点で、予約して使える仕組みが始まります。日本での同じ発表は、確認できていません(2026年10月5日時点)。
大阪・関西では、淀川区に常設の体験拠点ができた
大阪市淀川区のダイトロンは2026年10月2日、国内の販売パートナーとして、販売と導入の支援を始めると発表しました。東京と大阪に常設のデモ環境を置き、大阪の拠点は西日本で初めての体験拠点だとしています。大阪デモルームの場所は、大阪市淀川区宮原4-6-11です。
ダイトロンの発表にある東京と大阪のデモルームの案内と、大阪の部屋の写真出典: ダイトロン株式会社「次世代3Dビデオコミュニケーションソリューション「HP Dimension with Google Beam」販売・導入支援を開始」(引用)
ITの卸のダイワボウ情報システム(本社: 大阪市北区、東京都港区)も9月28日、取り扱いを始めたと発表しました。なお、関西の会社や自治体がGoogle Beamを導入したという公式の発表は、確認できていません(2026年10月5日時点)。
使い方の例としては、東京の本社と大阪の支社の部屋に1台ずつ置き、役員どうしの相談や人事の面談に使う形が考えられます。大阪の拠点にいる学生と東京の面接官が向き合う面接や、遠くにいる専門家との1対1の相談にも当てはまります。
導入を考えるなら、使える小部屋、回線、相手の拠点にも置けるかの3つを先に確かめておきます。
まずは淀川区のデモルームで、見え方を確かめるところからやね。