顔にかけるだけで、写真を撮ったりAIに話しかけたりできるスマートグラス。その便利さの裏で、「意図しないのに録音されていた」という不具合が報告されました。MetaのRay-Banスマートグラスで、利用者が合図を出していないのにAIが起動し、音声を記録していたというもので、Metaは解決したとしています。
何が起きたのか
報道(Android Authorityなど)によると、Ray-Banスマートグラスの一部の利用者が、「Hey Meta」という起動の合図を言っていないのに、Meta AIが動き出して音声を記録する、という現象を報告しました。中には、その機能を有効にしていないのに起きた、複数の眼鏡で同じことが起きた、という報告もありました。利用者は、掲示板(Reddit)で相次いで声を上げていました。
スマートグラスの『勝手に録音』問題と、できる対処(編集部作成)作成: 編集部 / もとの資料: 報道(Android Authority)と利用者の報告を編集部が整理
Metaは報道の取材に対し、「この問題は解決した」と回答しています。あわせて、利用者は設定から、Meta AIとのやり取りの音声ログを、いつでも確認・管理・削除できるとしています。なお、今回記録されていたのは映像ではなく音声で、録画・録音中は眼鏡の内側のLEDが点灯して周囲に知らせる仕組みは、引き続きあるとされています。この製品そのものについては、TECHNOVAの記事でも取り上げられています。
なぜ「意図しない録音」が問題なのか
スマートグラスは、カメラやマイクを顔の高さに、しかも自然な見た目で備えています。スマートフォンのように「手に持って構える」動作がないぶん、録っていることが周りから分かりにくい。だからこそ、録音・録画のサイン(LED)や、利用者の意図どおりにしか作動しないことが、信頼の前提になります。
今回の不具合は、この前提が崩れると何が起きるかを、あらためて示しました。たとえ記録されたのが映像ではなく音声だけでも、「本人も気づかないうちに、周りの会話まで記録されていたかもしれない」という不安は残ります。メーカーが素早く修正し、音声ログを自分で確認・削除できる仕組みを用意していることは、こうした不安への一つの答えでもあります。
暮らしへの影響と、できる対処
影響は、使っている本人だけではありません。スマートグラスは、周りの人を、本人が気づかないうちに記録しうる機器でもあります。使う側・そばにいる側、それぞれにできることがあります。
- 端末やアプリを最新にする: 不具合の修正は、ソフトの更新で届きます。スマートグラスと、連携するアプリを最新の状態に保ちます。
- 音声ログを確認・削除する: Metaは、設定から音声ログを確認・削除できるとしています。気になる人は、一度中身を確かめておくとよいでしょう。
- AIの起動の設定を見直す: 音声でAIを呼び出す機能の設定を確認し、不要なら切るなど、自分の使い方に合わせて調整します。
- 周りの人への配慮も: 使う側も、人が集まる場所や、録音を望まない相手の前では、機能の使い方に気を配る。これは機器の設定だけでなく、使う人のマナーの問題でもあります。
関西でも、スマートグラスは身近に
スマートグラスは、関西の街なかやイベント、観光地でも見かけるようになってきました。便利な道具である一方、「知らないうちに録音・録画されているかもしれない」という不安も、広がっています。
スマートグラスのプライバシーは、日本だけの話ではありません。本サイトでも、EUの個人情報保護機関によるスマートグラスの指針や、ノルウェーでの一時的な使用禁止の提案を取り上げてきました。今回のような不具合は、こうした「新しい機器と、周りの人のプライバシーをどう両立させるか」という議論に、あらためて光を当てます。使う人は設定と更新を、周りの人は録音・録画のサインを知っておく。新しい道具と上手につきあうために、お互いが少しずつ気を配ることが、これからいっそう大切になります。